【フェブラリーS2021回顧】カフェファラオの真価はむしろこれから問われる

【AJCC2021回顧】アリストテレスの“正体”――それは紛れもない“本物”だった

アメリカジョッキークラブカップ2021回顧

中山で行われたアメリカジョッキークラブカップ。

昨年のクラシックを沸かせた4歳上位レベルの馬たちが揃い、今週の古馬王道路線を占う上でも重要な一戦でしたが、結果は1番人気に支持されたアリストテレスが見事、期待に応えて1着でした。

騎乗したルメール騎手、管理する音無調教師はじめ厩舎スタッフ、牧場スタッフ、オーナー、その他関係者皆さま、本当におめでとうございました!

それでは、レースを振り返っていきましょう。

第62回GⅡアメリカジョッキークラブカップ 回顧・総評

昨年の主役が揃って引退、4歳馬の好走は至上命題だった

アーモンドアイ、ラッキーライラックはおろか、今年に入ってフィエールマン、サートゥルナーリアまでも引退となり、層の厚みという点でやや不安にもなった2021年上半期の古馬GI戦線。それだけに、このAJCCに出走した4歳馬への期待はかなり大きかったと思います。

加えて、先週の日経新春杯は同世代の最終兵器的存在だったアドマイヤビルゴが惨敗しましたからね。ここでまた4歳馬が全滅なんてことになったら、コントレイルとデアリングタクトの三冠すら軽く見られてしまったかもしれない。

いや、コントレイルとデアリングタクトはJCで力をすでに見せているので、同世代の馬が重賞で勝てなくても、彼ら自身の評価が下がることはないでしょうが、それでも「ひょっとして他が弱かったから無敗で三冠取れた?」なんて少しでも思われてしまうのはよろしくない。

それに、昨年までの主役たちがごっそり抜けてしまった古馬GI戦線を盛り上げるのは、やっぱり新しい顔、若い力――フレッシュな4歳馬が活躍してこそ、春競馬シーンが熱くなるというものだ。

そうしたことをひっくるめても、このAJCCでの4歳馬の好走は至上命題だったとも言えたのではないでしょうか。

ただ、心配されたのは馬場コンディション。レース時に雨は上がっていたものの土曜の日中から降り続いていた雨により、芝は不良。やっぱり馬場が悪ければ悪いほど適性の差というものが顕著に出てしまうので、思わぬ道悪巧者の穴馬大激走も予感させた。

しかし、そんな心配をモノともせず、アリストテレスとヴェルトライゼンデの4歳馬がワンツー。しかも、2頭とも堂々とした正攻法での競馬だったから、これは春GI戦線へ明るい光となりましたね。

完調手前での好内容、それだけに100点満点

アリストテレスのレースをアタマから改めて見てみると、好スタートからいったん控えて、道中は中団の馬群の中。もともとそこまで前に行くタイプの馬ではなかったし、やはりこの馬場だから、あまり急ぎ過ぎては最後まで持たないという判断でしょう。

1コーナーあたりでは内外から他馬に挟まれるなど、ちょっと厳しい位置にも見えましたが、向こう正面に入るころにはゴチャついた馬群を抜け出し、1頭だけになれる1列前へとポジションアップ。このあたりはさすが名手ですね。

折り合い、リズムともにバッチリで、先行勢が苦しくなってきた3コーナー過ぎから満を持しての進出。レース後、ルメール騎手は「スピードはなかったけれど」とインタビューで話していましたが、それでも見るからに手応えは一番。馬場の外をグイ、グイと力強く伸びての1着でした。

最後はヴェルトライゼンデに半馬身まで迫られましたが、逆転される気配はまったく感じなかったですし、内容としては文句なしの完勝。1年の初戦としてはかなり良い競馬をしたと思います。

というのも、もしこれがバチバチに仕上げて臨んだレースだったとしたら、むしろ先行き不安でしたけど、実際はそうではない。

中間の記事に出ていたように、1週前追い切りにまたがったルメール騎手は「まだ太い」とジャッジ。それだけに今回は“最低限の走れる態勢は整った”という程度の出来だったのだと思います。

ラジオNIKKEIのサイトに載っている音無調教師のコメントを見ても「ジョッキーは先週乗った時に太かったと心配していましたし、今日もそんな感じだったと言っていました。自信はありませんでした」。

今回の馬体重は+4kgと、数字だけ見ればたいしたことはありませんが、額面には現れない中身の部分に関して、まだまだ完調手前だったことがトレーナーのコメントから読み取れます。

そんな中でのこの競馬ですから、これはもう始動戦としては100点満点と言っていいのではないでしょうか。

戦績だけ見ればまだまだ“正体不明”だった

思えば、コントレイルの無敗三冠をあわや阻止という競馬を見せた菊花賞。あの走りのインパクトが強すぎたために、アリストテレスという馬には過剰な期待がかかっていたと思うのです。

だって、冷静に戦績を眺めると、重賞に挑戦したのは菊花賞の一戦のみだから、当然重賞は未勝利。それ以前に至っても3歳限定OP勝ちの実績もなければ、条件戦では2勝クラスを勝っているだけ。いくら、馬券圏内を外したのはプリンパルSの6着1回だけと言っても、普通に考えればまだまだ“正体不明”の馬であることには変わりはない。

過去にも菊花賞2着で将来が期待されながらそのまま消えていった馬、たくさんいますよね?

そして、あなたは今、サトノルークスを思い浮かべましたね? そう、これがメンタリズムです。

だから、アリストテレスもそうなってしまう可能性をはらんでいたとは思うのだけど、自らの力と素質で覆してみせた。しかも、この馬場で――。

だからこの勝利は、初の重賞制覇とか、単に賞金を加算したとか、そういったことよりももっと大きな価値を持つのではないかと、個人的に思うわけですよ。つまり、アリストテレスは“本物”だったと。

ルメール騎手も言っていました。

トップコンディションでなくてもGIIを勝てた。良くなればGIを勝てます

まあ、これはリップサービスも含まれてのことだと思いますが、春のGI候補、そして打倒コントレイルの1番手へ堂々の名乗りですね。

目標は天皇賞・春、次走は阪神大賞典か日経賞

で、その春のGIですが、音無調教師のコメントによれば目標は天皇賞・春、その前に阪神大賞典か日経賞を使う予定とのこと。ここにはコントレイルは出てきませんから、いったんは別路線となりそうですね。

となると、天皇賞・春戦線はアリストテレスが主役の1頭となることは間違いなし。

菊花賞での実績はすでにありますが、今日もまたタフなレースを制したことでスタミナに不安がないことが改めて証明されました。

また、これも父エピファネイアの血なんでしょうか、道悪でも戦えることが分かったのも大きな収穫。今年は淀ではなく、比較的パワーが要される阪神での3200m決戦となりますが、条件的に心配するところはないでしょう。

また、2着ヴェルトライゼンデも、個人的には叩いて良くなるタイプだと思っていたので評価を下げていたんですけど、最後はよく伸びてきたし、地力が高いことを見せてくれました。こちらも収穫大のレースだったと思うので、それも含めて古馬王道路線が楽しみになってきました。

いやあ、ホント良かったね。ここで人気の4歳勢が箸にも棒にもかからなかったら、特に天皇賞・春路線が空気になっていたかもしれないから。

今週のひとり大反省会

アメリカジョッキークラブカップの結果

1着○アリストテレス

2着△ヴェルトライゼンデ

3着 ラストドラフト

4着 ステイフーリッシュ

5着◎モズベッロ

一方、馬券に関しては5歳馬モズベッロから買っているのだから、どの口が「4歳馬ワンツーで良かった。GIが楽しみだ」なんて言ってるんだか……。我ながらこの二枚舌が恐ろしい。

モズベッロに関しては発馬がイマイチで後方からの競馬になってしまったのが悔やまれる。最後は上位3頭と同じくらいの脚で伸びていたし、その前に前がやや詰まってスムーズに追い切れなかったことも含めて、本当に惜しかった。

ただ、こちらも地力がある走りを見せてくれたし、次につながる好内容。次走、日経賞あたりに出てきたら再び要注目だとは思うけど、たぶん地味に人気するだろうからなぁ……。

こうなると、次走もソコソコの着順で終わってもらって、真の買い時は天皇賞・春とか、去年みたいに宝塚記念――みたいなパターンが一番オイシイかもしれない。

AT
AT

そうなることを願って、この春はモズベッロを密かにウオッチしていきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です