日曜東京のメインはオークストライアルのGⅡフローラステークス。
桜花賞馬デアリングタクト打倒へ名乗りを挙げる新星は出現するのか――注目の一戦です。
また、今年の登録メンバーを見てみますと、中心視されている馬がいずれも日本競馬を代表する良血馬たち。こうした血統背景を持った若き才能たちがGⅠ、それもクラシックの大舞台に上がってくるだけで、楽しみは倍増するというもの。
では、この良血ぞろいの中からスターダムに駆け上がっていく馬は誰なのか?
有力馬の解説、分析と行ってみましょう!

キーワードは「エアグルーヴ」です。
目次
有力馬ピックアップ解説
まず人気の筆頭が予想されるのがスカイグルーヴですね。
昨年11月、今回と同じ東京2000m芝でデビューし、逃げて5馬身差の大楽勝。素晴らしいスピードと持続力を披露しました。
続く2戦目は、1勝クラスをすっ飛ばし、しかも牝馬限定ではなく敢えて牡馬相手の2000m戦となるGⅢ京成杯に参戦。惜しくも勝利こそなりませんでしたが、半馬身差の2着に好走しました。
この結果をどう見るかですが、最後の最後にクリスタルブラックの強襲に屈したものの、レース自体はスカイグルーヴがほぼほぼ支配。思った以上に先頭に立つのが速すぎただけだと思います。
馬って集団生活する動物なので、1頭になってしまうと遊んでしまったり、真面目に走らなかったりするもの。たぶん、スカイグルーヴのゴール前もそんな感じだったのでしょう。
また、今回は新馬戦を圧勝した東京2000m。スピードの持続力を生かすという点では、コーナー4つの中山よりも合っていると思いますので、ここは改めて前走以上の期待ができるのではないでしょうか。
桜花賞馬と同じエピファネイア産駒から、オークス候補誕生なるか。
2番手に挙げたいのが、名門・藤沢和雄厩舎のレッドルレーヴです。
こちらは牝馬限定の中山1800m戦・GⅢフラワーカップ2着からの参戦。前走は先に抜け出したアブレイズをとらえることはできませんでしたが、1馬身半退けた3着シーズンズギフトは、次走のGⅡニュージーランドトロフィーでも2着好走。フラワーカップの出走レベルが低くなかったことが分かります。
また、2着だったデビュー戦で半馬身の先着を許した相手、フィリオアレグロも次走のGⅢ共同通信杯で3着に好走した素質馬でした。
ここまでの3レースで戦ってきた相手を考えれば、レッドルレーヴの能力はここに入っても最上位の1頭であると言えるのではないでしょうか。
レース後には藤沢和厩舎のオークス真打ちはサンクテュエールではなく、レッドルレーヴとなる可能性も十分ありそうです。
そして、もう皆さんご存知の通り、スカイグルーヴとレッドルレーヴには1つ大きな共通点があります。それはあのエアグルーヴを先祖に持つこと。ダイナカールを祖とするこの牝系はすでに日本競馬において大きな広がりを見せていますが、特にエアグルーヴ系からはGⅠ馬、重賞馬が多数輩出されている名門中の名門です。
エアグルーヴの長女アドマイヤグルーヴの直系スカイグルーヴか、それとも、エアグルーヴ最後の娘ラストグルーヴの子レッドルレーヴか――同じファミリーの仁義なき戦いに、今からワクワクが止まりません。
もう1頭、主力として挙げるならホウオウピースフルでしょう。
こちらも先に挙げたエアグルーヴ一族の2頭にも劣らない良血馬。2つ上の兄は2018年の有馬記念馬ブラストワンピースです。
妹もこの良血ぶりにたがわぬ素質をデビュー初戦から発揮。牡馬相手の新馬戦、続く百日草特別をいずれも余裕たっぷりに快勝しました。
この2戦が1800m、2000m戦だっただけに、このままオークス路線かなと思いきや、桜花賞を目指してマイル戦のGⅢクイーンカップに参戦。兄とは違う前向きな気性から1600mでもという思いが陣営にはあったようですが、結果としてマイルの速い流れに対応できなかったようです。
確かにクイーンCを見直してみると、前半のペースについていけずに追走で手一杯といった印象。力を出し切ったような競馬ではなかったと思いますし、実績のある2000m中距離戦に戻って、再度見直しが必要でしょう。
現時点での予想と見解
フローラステークスの人気の中心となるのは、上に挙げた関東馬3頭、スカイグルーヴ、レッドルレーヴ、ホウオウピースフルだと思います。
3頭いずれも血統、能力ともに申し分なく、この中の1頭が高いパフォーマンスで勝ち上がれば、オークス本番でも注目の存在となることは間違いありません。

中でも大物感を最も感じるのはスカイグルーヴだと思います。
また、スカイグルーヴにはルメール騎手、レッドルレーヴはミルコ騎手、ホウオウピースフルはレーン騎手と、名手3人がそれぞれ騎乗予定。この外国人ジョッキー3人の腕比べも楽しみですね。
では、馬券もこの3頭だけ買っておけばOKか?
というと、果たしてどうでしょうか。
スカイグルーヴは牡馬相手のGⅢ京成杯2着と言っても、そのレース1着だったクリスタルブラックはGⅠ皐月賞で16着と大敗。また、京成杯4着のビターエンダーは続くGⅢ共同通信杯で2着でしたが、同じく皐月賞は14着と見せ場がありませんでした。
なので、そのあたりの力比較を考えると、スカイグルーヴにも過度の高評価は危険なのでは?
一方、レッドルレーヴは、先に書いたようにフラワーCで1馬身半先着したシーズンズギフトが次走のGⅡNZTで2着。それを考えればフラワーCは低レベルではなかったと言えますが、そもそもNZTのレベル自体がどうだったのか?
ホウオウピースフルにしても、いくら結果的に距離が合わなかったとはいえ、前走のクイーンCのレースぶりには見どころを感じませんでした。
また、百日草特別で牡馬を負かしていますが、少頭数で牡馬レベルも高くありませんでしたし、新馬戦でミヤマザクラに勝っているといっても、あれはミヤマザクラが走らなかっただけでしょう。
そう考えると、必ずしもこの3頭が抜けた存在ではないと思えてくるのです。
そして、よくよく登録馬を見ると、3頭以外にも面白そうな馬が実はたくさんいるんですよね。
中山での実績になりますが2000mでは2戦2勝のウインマリリン、中距離で堅実な走りを見せているヴァリアーモ、また、GⅢクイーンCで4着に突っ込んだアカノニジュウイチの決め手も魅力です。

そしてそして、個人的に注目しているのが、角居厩舎の関西馬フアナ。
こちらはダービー馬フサイチコンコルドの母バレークイーンを祖とする牝系の生まれで、近親には皐月賞馬ヴィクトリー、重賞3勝のリンカーンほか、叔父にGⅡ青葉賞勝ちのアドミラブル、叔母に今週のGⅢ福島牝馬Sの有力候補エスポワールなど、エアグルーヴ一族にも見劣りしない名門なのです。
初戦は2着でしたが、これは1着馬がダービー戦線でも大きな注目を集めているアドマイヤビルゴだっただけに相手が悪かった。続く未勝利戦ではレベルが違うという快勝で素質の片鱗を見せています。
1勝馬なので出走できるかどうかが分かりませんが、もし抽選突破ならかなり魅力的な1頭になると思います。
マイラーズカップの展望と見解
なお、日曜阪神メインのGⅡマイラーズカップの展望も合わせて公開しています。

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