皐月賞&桜花賞戦線もいよいよ大詰めとなってきましたが、それは古馬王道の天皇賞・春路線も同じ
阪神大賞典のレース名を見るだけで、なんだか身が引き締まる思いがします。

重厚感が違うというか、なんというか……
そんな良い意味での威圧感を僕はこのレースから感じてしまうのです。
最近では国内海外含めて中距離~2400m路線が充実していることもあって、3000m級路線自体「?」がついてしまうくらい軽いメンバーになってしまう年もありますが、今年はどうなるでしょうか。
ひとまず、阪神大賞典は登録馬10頭ながら、なかなか面白いメンバーが集まったなという印象です。有力馬の解説にいってみましょう!
目次
有力馬ピックアップ解説
まず第1に挙がるのは2017年菊花賞馬のキセキ。
メンバー中ただ1頭のGⅠ馬であり、18年ジャパンカップ、19年大阪杯、19年宝塚記念では2着。実績はこの中で文句なしのナンバーワンホースです。
暮れの有馬記念は5着に敗れましたが、これはゲートで出負けしたのがすべて。それでも最後はしぶとく追い上げ、2着サートゥルナーリアとは0秒3差。地力の高さを見せた内容だったとも言えます。
また、有馬記念後に手綱を取ったムーア騎手が「3000mくらいあった方がいい」と進言したようで、それをもとにしての阪神大賞典への参戦。菊花賞馬に対してこんなことを書くのは少し変かもしれませんが、この長距離路線への変更で“新味”が出ることを期待したいですね。
各社のニュースによれば、1月31日に放牧先から帰厩。この中間はハードに乗り込んでいる様子で、1週前には栗東CWで好タイムをマーク。休み明けとしてはかなり仕上がっているのではないかと思います。
先週は同じ厩舎のサートゥルナーリアが完ぺきな内容で2020年初戦を飾りましたが、このキセキも菊花賞以来となる2年4カ月ぶりの勝利で続きたいところです。
キセキに続く実績馬といえば、栗東・友道厩舎のユーキャンスマイル。
昨年はGⅢダイヤモンドステークス、GⅢ新潟記念と重賞を2勝。GⅠでも天皇賞・春5着、同・秋4着、JC5着と、出走した3戦すべてで掲示板を確保しました。
複勝圏内に入ることはできませんでしたが、着実に実力をつけた2019年シーズンだったと思います。
3400mのダイヤモンドSを勝ち、菊花賞でも3着ですからスタミナには不安はありません。それどころか、僕個人としては典型的なステイヤーなのかなと思っていたので、新潟記念、天皇賞・秋で見せた末脚の切れ、速い時計にも対応できるスピードに驚いたものです。
2000mから3200mの幅広いカテゴリーで積んだ経験は、きっと今シーズンの競馬で生きてくるはず。充実の6歳を迎えたユーキャンスマイルが今年、大躍進を遂げたとしても全く不思議はありません。
一方で、重賞を挙げた2レース、好走した天皇賞・秋、JCはいずれも左回り。菊花賞で3着、天皇賞・春も5着ですから、右回りが全くダメということではないと思いますが、左回りがベストであることは陣営も認めていること。能力が少しそがれる可能性もあります。
昨年の天皇賞・春以来の右回りでどのような競馬を見せるのか。大きな注目点になりそうですね。
充実ぶりで言えば、4歳馬メイショウテンゲンも互角以上。
菊花賞こそ12着と大敗しましたが、続くステイヤーズS4着、ダイヤモンドS2着と、3000m以上の重賞で連続好走。長距離でのレースが安定してきました。
ディープインパクト産駒ではあるのですが、3歳時には重馬場の弥生賞を制したように、スタミナを問われる競馬が得意なタイプ。それだけに今回も、パンパンの良馬場で、というよりは少しでも渋った方がありがたいでしょう。
もしくは、終始ペースが流れて息が入りづらい展開を希望か。キセキが先行してある程度ペースを作れば緩い流れにはならない、つまり消耗戦になると思いますので、メイショウテンゲンとしてはそうした天気、馬場、展開を味方に差し込みを狙いたいところです。
メンバー中唯一の関東馬、ボスジラは3連勝の勢いが魅力の1頭。この馬もメイショウテンゲン同様に本格化の兆しが感じられます。
父ディープインパクト、母はクロフネの妹ミスパスカリ。兄にGⅡスプリングS勝ち馬マウントロブソン、GⅠ菊花賞3着ポポカテペトルがいて、妹は2月のGⅢクイーンカップを快勝して桜花賞の有力候補になっているミヤマザクラです。
血統は申し分なく、重賞初挑戦のここは絶好の試金石になりそうですね。
もちろん、これまでとは戦ってきた相手が違いますし、3000mのレースは初。そう簡単にはいかないでしょうが、鞍上は武豊騎手。そして、キセキと2kg差、ユーキャンスマイルとは1kg差ある斤量55kgも魅力的な点。
目下の充実度と名手の手綱、そして斤量差で上位争いに食い込みたいところです。
現時点での見解
実績的にはキセキの1強。GⅠで1勝・2着3回・3着1回の力をそのまま出し切れば勝ち負けは必至だと思います。
昨年までの2000m~2400mから一転して3000m級戦線への転換となりますが、世界の名手ムーアのお墨付きですし、何より菊花賞馬。距離への不安はありません。
ここをステップに、改めて一級ステイヤーとしての再スタートを切れるのではないでしょうか。
ただ、GⅠで2着、3着が多い馬というのは、それがGⅡ、GⅢ戦になったからといって簡単に勝てるタイプではない――というのは、これまでの歴史が教えてくれています。
キセキは連複系の軸としては最適ですが、1着固定の軸として全幅の信頼は置けない。
そうなると成長著しいユーキャンスマイルになりますが、左回りがベストなだけに右回りで同じような強さを見せられるかどうか。
また、2走続けて3000m級の重賞で好走しているメイショウテンゲンにしても、まだ展開などの注文がつきそう。
とすれば、3連勝でオープン入りしたボスジラが武豊騎手とのコンビでいきなり大きな仕事をやってのけるのでは……と思ってしまいます。
ほか、末脚確実なタイセイトレイル、GⅡアルゼンチン共和国杯勝ち馬ムイトオブリガード、スタミナ自慢の最軽量牝馬メロディーレーン、万葉S3着・ダイヤモンドS4着のレノヴァールなど、複勝圏内なら一発狙えそうな馬が他にもそろっており、

意外と荒れるのでは?
とも思い始めています。
スプリングステークスの展望
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GⅠ皐月賞へ向けた重要なステップレースに、GⅠホープフルステークス2着のヴェルトライゼンデが出陣。打倒コントレイルに名乗りを挙げる重賞制覇はなるのか。
ほか、皐月賞切符を目指すサクセッション、ファルコニアなど有力馬の解説、現時点での見解も掲載しています。