日曜の京都メインは淀の伝統古馬GⅡ戦、第113回京都記念。
伝統の……というわりに、巷では「メンバーがショボい」なんて言われてます。
まあ、出走頭数も少ないし確かにそうかもなぁ、とも思いますが、秋華賞馬クロノジェネシス、JC2着馬カレンブーケドールの4歳牝馬2頭の対決がここで見ることができるのは、なかなか興味深いことだと思いますよ。
さらにベテラン牡馬の実力派もいて、クラシックで期待されていた4歳牡馬もいるし……と思っていたら、そのクラージュゲリエが挫跖で出走回避。個人的に復帰戦はどんなもんかと注目していただけに、うーん、これは残念。
これでメンバーの層もますます……という感じになってきそうですが、だからといって4歳牝馬2頭の鉄板と見て、いいんですか?
京都記念はここ8年連続で1番人気、2番人気がそろって敗れており、牝馬が最後に勝ったのもちょうど10年前のブエナビスタまでさかのぼらなければいけません。あのジェンティルドンナ、ハープスターも負けている、とにかく牝馬にとっては鬼門のようなレースなのです。
加えての雨予報。

どうです、なんだか荒れる気がしてきたでしょう?
というわけで京都記念の予想といってみましょう!
目次
第113回GⅡ京都記念 予想と見解
◎⑤ステイフーリッシュ
○①カレンブーケドール
▲⑧ドレッドノータス
△⑦クロノジェネシス
△⑨ノーブルマーズ
穴②プリンスオブペスカ
馬単⑤⇔①③⑦⑧⑨
3連単⑤→①③⑦⑧⑨
展開予想(スローペース)
⑨④③⑩
積極策を明言している馬は何頭かいるものの、どうしてもハナという馬がいない。ここは逃げての勝ち鞍がある⑧ドレッドノータスが押し出されるように先頭へ。
⑤④③⑩
⑨
②ステイフーリッシュはAJC杯同様に番手からの競馬で、それを見る形で追走する①カレンブーケドール。⑦クロノジェネシス、③クラージュゲリエは位置取りというよりも折り合い専念の形だろう。
⑤①⑦⑥
⑨③⑩
早め先頭からの押し切りを狙う⑤ステイフーリッシュ。それを目がけて脚を伸ばす①カレンブーケドール、⑦クロノジェネシスらの差し比べに。
①
③
①カレンブーケドールの追撃を振り切り、⑤ステイフーリッシュが1着でゴールと予想。
ここがポイント!

- 4歳牝馬2頭で本当に鉄板か?
- ステイフーリッシュ走る条件そろった
- 穴は今の京都芝、雨でも対応できる馬
カレンブーケドールは仕上がり8割か
今年の京都記念は4歳牝馬2頭が中心だ。
秋華賞馬クロノジェネシスか、GⅠで3連続2着のカレンブーケドールか――
一騎打ちの様相を呈している下馬評ではあるけれど、僕個人の見解としては……

どっちも危ないんじゃない?
というのも、この2頭はいずれもここが目標戦というわけではないし、真に狙っているレースはこの“次”。ということは当然、完調一歩手前ということだ。
特にカレンブーケドールは、昨秋の初戦・紫苑Sで3着に敗れた後、GⅠ2レースで連続2着。とりわけ休み明け3走目だったジャパンカップを絶好調で迎えたあたり、本質的に叩き良化タイプだろうと思われる。
この中間も調教は順調に消化できているようだし、「紫苑Sの前よりいい」という陣営のコメントも出ている。だが、次は海外遠征のドバイシーマクラシックを予定しており、ここでお釣りを残しておかなければドバイでは勝負にならないだろうから、今回の出来は8割といったところだろう。
また、ただでさえ時計を要する今の京都芝、加えて日曜は雨予報であるから、なおさらパワーを要求される馬場になりそう。
カレンブーケドールは重馬場のジャパンカップで2着に来たから道悪の心配はないと思われがちだが、JC後に津村騎手は「良の方がいい」と言っていたし、去年の府中は異常に時計が出る馬場だった。
それを考えると、今の京都芝で雨に降られることはカレンブーケドールにとって歓迎材料ではない。
折り合いと距離に不安があるクロノジェネシス
一方のクロノジェネシス。
こちらはちょうど1年前のGⅢクイーンカップを2カ月ぶりでV、そして初のビッグタイトル獲得となった秋華賞は夏を挟んだ5か月ぶりの秋初戦で見事に勝ち取った。それだけに鉄砲が利くタイプと見て間違いないだろう。
さらに、陣営が明言しているように、この中間で馬体がひと回り大きくなってパワーアップしているという。
こう書くと、クロノジェネシスの方が信頼できそうだが、不安要素はこの「馬体がひと回り大きくなってパワーアップ」という点だ。
馬体重はどうやら2ケタ増での出走が見込まれており、これ自体は秋華賞をプラス20kgで勝っている馬だからことさら不安視する必要はないのかもしれない。ただ、北村友一騎手のコメントによると、「力が強くなって、口向きも強くなっているためコントロールが難しくなっているかも」という。
そのような不確定要素があるなか、加えて今回の京都外回り2200メートルはクロノジェネシスにとってベスト条件とは思えない。オークス、エリザベス女王杯と、いまいち伸びきれなかったところを見ると、2000mを超える距離は微妙に長いのではないか。

折り合いと距離への不安。実は今回のレースはクロノジェネシスにとって、そう簡単なレースではないことが浮かび上がってくる。
ステイフーリッシュは出来、コース相性ともに◎
では、この主役の4歳牝馬2頭に取って代わる馬と言えば、それは5歳牡馬のステイフーリッシュだ。
こちらは2カ月ぶりの休み明けだった前走GⅡAJC杯が、有馬記念馬ブラストワンピースに迫る2着と上々の内容。それを叩いての2走目は当然、上積みがあるだろうし、注文通りの上昇カーブで京都記念を迎えられる。
そして、京都記念と言えばステイフーリッシュは昨年2着に来ており、3歳時には同じ京都2200mで行われるGⅡ京都新聞杯の勝ち鞍もある。また、2着に入った前走のAJC杯も2200mだ。この距離はベストと言っていい。
加えて、瞬発力でやや劣る同馬にとって、パワーを要する今の京都芝は好都合。切れ味で勝負する牝馬2頭が苦にすれば、より大きなアドバンテージを得ることになる。
もともと重賞で2着4回、3着が4回もある実力派。

出来、コース、馬場と、すべてがプラスに向く今回は大きな勝機と言えるでしょう!
ドレッドノータスは“京都の鬼”だ
また、ステイフーリッシュと同じ矢作厩舎のドレッドノータスもチャンスが大きい1頭だ。
成績こそ安定しないが、昨秋の京都大賞典を勝っているようにハマったときの強さは特筆もの。さらに、この京都ではGⅢ京都2歳S、OP特別アンドロメダSほか、全6勝のうち4勝を京都で挙げている生粋の淀巧者だ。
GⅠ天皇賞・秋16着以来、ここは3カ月半ぶりの競馬となるが、きっちりと稽古を積まれており、コンビを組む坂井瑠星騎手からは「京都大賞典よりもいい」というコメントが出ているほどだ。
さらに時計のかかる馬場も得意としており、僚馬ステイフーリッシュ同様に好条件がずらりと出そろっている。

矢作厩舎で上位独占もありそうな気配ですね。
雨で馬場が渋ればなおさらノーブルマーズの出番
穴で買ってみたいのは7歳の古豪ノーブルマーズ。
ピリッとした脚は使えず、いつもジリジリした伸び脚だが、だからこそ今の京都の馬場が合う。
上がりがかかるレースでは好走を見せており、一昨年のGⅠ宝塚記念(レース全体の上がり3F36秒3)では12番人気で3着と、波乱の片棒を担いだのはご存じのとおり。前走のGⅢ中山金杯も時計がかかるレース(全体の上がり3F35秒8)だったが、そこでも勝ち馬とは0秒2差の4着と、まだまだ地力健在であることをアピールしてみせた。
予報通りの日曜の雨で、馬場が渋れば渋るほど、ノーブルマーズの出番がやってくるというものだ。
また、それ以上の大穴ならプリンスオブペスカだ。
好調ハーツクライ産駒で、前走GⅡ日経新春杯は出遅れながらも、途中から積極策に切り替えて0秒6差の5着。マズマズの内容だった。
今回も陣営は積極策を示唆しており、ロングスパートのスタミナ比べになれば面白い存在。この馬も馬場が悪くなって時計がかかってほしいタイプだ。

雨と言えば、もし重、不良になるくらいならば“道悪の鬼”アメリカズカップも忘れないように。
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