東京競馬場5週連続GⅠ開催の初戦を飾る3歳マイル王決定戦・NHKマイルカップ。
前回の展望記事①、②では、レシステンシア、サトノインプレッサ、ルフトシュトローム、タイセイビジョンと、出走予定馬の中から有力候補をピックアップして、各馬を解説・分析していきました。


今回は展開や力関係などレース全体から展望し、現時点での見解、予想などを述べていきたいと思います。
目次
現時点での予想と見解
- 2歳からの既存勢力vs.新勢力、どっちが強い?
- ギルデッドミラーを基準に考えてみる
- ルフトシュトロームの取捨が迷うところ
- 人気4頭以外にも伏兵馬も結構いるぞ
レシステンシアの参戦で俄然、面白く
クラシック路線と比べるとこのNHKマイルカップは、やや地味というか、物足りないというか……そんな年も確かにありました。
しかし、アドマイヤマーズ、グランアレグリアの再戦で盛り上がった昨年に引き続き、今年もかなり面白いメンバーが揃ったのではないでしょうか。
やはり、2歳女王にして桜花賞2着レシステンシアの参戦が大きいと思いますし、同じ2歳戦からのトップ勢からは朝日杯FS2着で重賞2勝タイセイビジョンが名乗り。そこへ、新勢力の東西無敗馬2頭、ルフトシュトローム、サトノインプレッサが登場しました。
仮面ライダーWのフィリップ風に言えば、「実に興味深い」組み合わせになったと思います。
馬券を攻略する上で、大きく見極めたい点はレシステンシア、タイセイビジョンら2歳戦からの既存勢力と、新勢力であるルフトシュトローム、サトノインプレッサとの力関係。
また、牝馬レシステンシアのスピードは牡馬トップマイラー相手にも通用するのか?
力比較でキーホースとなるギルデッドミラー
今回まず、タイセイビジョンとサトノインプレッサの実力比較をする上で、キーホースとなるのがギルデッドミラー。
2頭ともにギルデッドミラーを2着に下した経験があり、タイセイビジョンがアーリントンCで2馬身差、サトノインプレッサがこぶし賞でクビ差。これだけ見ると、タイセイビジョンの方が上のように思えます。
ただ、こぶし賞でのサトノインプレッサは大きく出遅れた上、この日は追い込みが決まりにくい重馬場。その悪条件の中で楽々差し切った内容を考えれば、クビ差以上の着差があったようにも思います。また、サトノインプレッサは前走GⅢ毎日杯で、この世代で上位クラスの素質馬アルジャンナも簡単に差し切りました。
そのあたりを考慮すると、単純にタイセイビジョンの方が上とは言えないのかなぁと思います。
一方の牝馬レシステンシア。実はこの馬もギルデッドミラーを基準に実力比較ができそうなんです。
そもそもギルデッドミラーも牝馬なのですが、同馬は2戦目のサフラン賞でマルターズディオサの3着に敗れています。
ということは、マルターズディオサを5馬身ちぎっているレシステンシアは当然、ギルデッドミラーをそれ以上の大差で下せる力がある。
ということは、レシステンシアはタイセイビジョン、サトノインプレッサの3~4馬身ほど前に行ける実力がある?
大物感ならサトノインプレッサだが……
まあ、このように、自分から「ギルデッドミラーをキーホースとした実力比較」なんてやり出した手前、こんなことを言うと身もフタもないんですけど、単純な着差の横比較は難しいというか、いくらやっても堂々巡りになるというか……
着差なんてものは出走メンバーの組み合わせ、ペース、馬場、天気次第でどうとでも変わりますからね。
ただ、事実として同じ馬を相手に同じように快勝しているということは、同じくらいの実力を持っている基準にはなるでしょうし、一方のレシステンシアには1分32秒7という時計の裏付けもあります。
なので、ひとまずの結論としては、レシステンシア、タイセイビジョン、サトノインプレッサの実力は甲乙つけがたし。展開、馬場、天気次第でいくらでも着順が変わりそう。
その中で、個人的な感想・見解として言うのなら、今の東京の馬場はかなり時計が速いので、同じ良馬場条件ならレシステンシアに分がありそうな気がしています。現時点では。
でも、サラブレッドとしての『大物感』なら、血統背景、レースぶりからもサトノインプレッサが一番かなぁ、とも思うのです。
一方、この2頭は東京コースも長距離輸送も左回りも未経験なので、そこが不安と言えば不安。その点、コース、輸送経験も含めて安定感を買うならタイセイビジョンかなと思います。
ルフトシュトロームの評価が一番迷うところ
関西馬3頭の見解としてはこんなところですが、関東馬ルフトシュトロームはどうでしょうか?

正直、この馬の評価が最も迷うところです。
3頭にとってのギルデッドミラーのようなキーホースがいないですし、年明けデビューなのでそもそも初戦から戦ってきた相手のレベルも疑問。
3連勝で重賞を勝つくらいなので、能力が高いことには間違いないと思います。手前味噌ではありますが、NZTの予想記事では「相当強い馬が出てきた。素質1枚上」として本命にしたものです。
ただ、NZTのレベル自体も他の重賞と比べてどうなのか?
そして、3連勝は全て中山競馬場マイル戦。コース形状がまったく違う府中マイルに替わっても同じように走れるのか?
そんな課題点がアタマをよぎるんですよねぇ。
また、父キンシャサノキセキというのもGⅠを勝ち切るには一歩足りない種牡馬なのでは……?
ただし、母系はディープインパクトを世に送り出したウインドインハーヘアを曾祖母に持つ超良血。また、血縁的にはちょっと遠いですが、同じ牝系からは03年NHKマイルC馬のウインクリューガーも出ています。
この筋の通った良血牝系の底力があればGⅠでも見劣りはしなさそうです。
そして、鞍上がレーン騎手。これが大きいですよね。例え馬に一歩力が足りなかったとしても、レーン騎手がその一歩を埋めてしまいそうですからね。
僕の今年のNHKマイルC予想の最大の山場は、このルフトシュトロームをどう評価するか、ということになりそうな予感です。
連下候補の伏兵馬は結構いる
最後に、連下候補を少しだけ。
ピックアップした4頭が拮抗している分、人気も集中しそうですが、それ以外にも勝負になりそうな伏兵馬は結構いると思うのです。
例えば、今回のキーホースとして取り上げたギルデッドミラーも、これまでの相手と戦績から十分に3着圏内に割り込める実力馬だと思います。
また、GⅢファルコンステークスで好内容の勝ちっぷりを見せたシャインガーネット、GⅡスプリングステークス3着サクセッション、GⅢシンザン記念2着・GⅢアーリントンC3着のプリンスリターンとか、ほかにもちょっとした展開次第で上位に食い込める力を持っている馬がいそうですね。
ですので、人気4頭だけにとらわれず、広い視点で各馬を比較しつつ、今週の追い切り、枠順、週末の天気などを加味しながら、最終結論にたどり着きたいと思います。

なんか、書いているうちに今年のNHKマイルCはますます訳が分からなくなってきました……


レシステンシア、サトノインプレッサほか有力馬の解説・分析記事も合わせて公開していますので、お時間ありましたら、こちらもぜひ参考にしてみてください。
それでは競馬ファンの皆さま、金曜日に京都新聞杯の予想を公開する予定でおりますので、その時にまたお会いましょう!