さあ、ダービーウィークが開幕しました。
競馬サークルの人たち、そして競馬ファンもそうだと思いますが、僕にとって競馬の1年サイクルは……
「ダービーに始まり、ダービーに終わる」
つまり、今週が1年最大のクライマックスなのです。
この1年、振り返れば長かったような、アッと言う間だったような、ダービーをめぐる戦いもこれで終わりかと思うと寂しいような……(バガボンドの伊藤一刀斎のような心境?)
そんな感じですから、毎年この時期は週初めからソワソワしてしまいますよね。
しかも、2020年のダービーはディープインパクト以来の無敗二冠を、その息子コントレイルが挑戦するというのですから、なおさらワクワク感が止まりません。
牝馬では一足お先にデアリングタクトが無敗二冠を達成しましたが、コントレイルは果たしてどうなのか?
二強の一角・サリオスの逆転はあるのか、そして第3の馬の出現は?
現時点での暫定予想と合わせて、見解を述べていきたいと思います。
目次
有力馬ピックアップ
現時点での予想と見解
コントレイル二冠、感覚的に90%くらいはある
コントレイルが東京2400mのダービーを勝つ可能性、それはメチャメチャ高いと思います。
9割方、イケるのではないでしょうか?
まあ、9割という数字に特別な根拠はないですけど、個人的な実感としてはそれくらいの確率なのでは……と思ってしまうのです。
それもこれも、皐月賞の競馬内容が大変良かったから。
小回り中山2000mコースで何だか嫌な雰囲気のある1枠1番スタートの上、レース前半は馬が進まず後方の位置取り。この時、僕は、

あ、これ、飛ぶんじゃないか
と思いました。同じこと思った人、たくさんいますよね?
ところが、終わってみればコントレイルの強さばかりが目立つ勝利。加えて、後方の馬群の中でも折り合いがつき、かつ、そこから捲り差しで勝つという内容は、距離不安がささやかれていたダービーを思えば100点満点の競馬。
単に“皐月賞を勝つ”ということ以上の価値をコントレイルにもたらしました。
ホープフルステークス後、福永騎手は「2000mまでは大丈夫。ダービーに向けて、あとは距離だけ」と言っていた、唯一の課題、懸念点がほぼ解消されたということです。
これはデカいですよ、ホントに。
もちろん、だからと言ってダービーでもわざわざ後方から行く必要はありませんが、どの隊列、ポジションからでも折り合いよく進められるという安心感は、福永騎手や矢作調教師が最も欲しかったモノだとも思うのです。
今の東京芝はスタミナよりもスピードが求められる馬場。その傾向に照らし合わせれば、コントレイルに多少の距離不安があったとしても、同じ3歳馬同士ならスピードの絶対値と能力で押し切れます。
しかしながら、そのスピードを生かすためにも道中の折り合いは必須。だから、今の東京2400mを攻略するのに大事なのはスタミナよりも折り合いだったわけなのですが、その不安がなくなったとなれば、まさに鬼に金棒、あーりんに唐揚げ、というわけですよ。
内・先行有利の東京芝はサリオスにマッチ
この難攻不落のコントレイルの牙城。
一番槍で崩すとしたら、それはやはりもう1頭の2歳王者・サリオスしかいません。
こちらも皐月賞前はマイルまでしか経験がなかったことから距離不安をささやかれていましたが、実際には全然そんなことなかったですね。
とにかく馬体が大きいので瞬発力や反応の鋭さにはやや欠けるのかもしれませんが、その分、追えば追うだけ伸びるタイプ。このスピードの持続性はむしろ、今の東京の傾向にはコントレイルよりも合っているとも言えます。
レーン騎手も2度目なのでサリオスの個性、癖をバッチリと掴んだことでしょう。今度はコントレイルを倒すための最上の策を打ってくるはず。
525mの直線をいっぱいに使った火の出るような叩き合いを期待したいですね。
また、時を経てのディープインパクトvs.ハーツクライの戦い再び――というのもファン心理にグッと来るところです。
トライアル組は厳しいか
とまあ、今年のダービーは誰がどう見ても『2強』。
では、それらに続く第3の馬は……?
これが難しいところですね。
オークスではトライアル、もしくはステップレースの1着馬が本番でも2、3着に食い込みましたが、ダービーでも同じことは起こるのか?
今のところ、それはちょっと厳しいのかなぁと思っています。
と言うのも、特にフローラSの勝ち馬でオークス2着のウインマリリンは桜花賞には出走せず、デアリングタクトと未対戦だった。つまり、未知の部分が残されていたわけです。
一方、プリンシパルSを勝ったビターエンダー、京都新聞杯を勝ったディープボンドはいずれも皐月賞でコントレイル、サリオスと対戦して2ケタ着順に惨敗。常識的に考えて、ここからの巻き返しは果たして可能なのか?
ハーツクライの例(皐月賞14着→京都新聞杯1着→ダービー2着)があるから、絶対にない、とは言えないのですが、この2頭にハーツクライほどの能力があるのかどうかを見極めたいところ。
ただ、しつこいですが、今の東京は内・先行有利の傾向となっており、今週は先週のBコースから仮柵がさらに外に設置されるCコース。ますます「内伸び」に拍車がかかることが予想されるため、前につけられる脚質のビターエンダー、ディープボンドにとってその点はプラスになりそうです。
京都新聞杯2着からダービー制覇の下剋上を成し遂げた昨年のロジャーバローズも、果敢先行からの押し切りでしたからね。
皐月賞3着以下からピンと来る馬がいないかも
一方、本来ならば2強打倒の有力候補となる皐月賞上位組はどうなのか?
プリンシパルS、京都新聞杯を皐月賞2ケタ着順馬が制したのだから、それらより上位に来た馬たちのレベルも相当高いことは間違いありません。
ただ、皐月賞ではコントレイル、サリオスの2頭が後続をちぎってしまい、3着以下の馬たちが目立たなかった。
例年だったら、敗れた中からも「オッ!」と思わせる脚を見せた馬をダービーでは積極的に狙っていったものですが、今年は2強の強さがまぶしすぎて、

正直、それ以外の印象があまりない……。
だから今年は、ダービー3番手の評価が本当に難しくて、悩むのです。
順番から言うと、皐月賞3着ガロアクリーク。
この馬は評価されている以上に能力がある馬なのだと思います。キンシャサノキセキ産駒に2400mはどうなのかなと思いますが、これもしつこく言っているように今のスピード重視の東京芝なら、案外こなせるような気もします。
ただ、末脚勝負に徹してどこまで差して来るかという競馬では、2強を倒すには厳しいと思いますし、今回は手が合っていたヒューイットソン騎手から乗り替わりというのも……。
今回手綱を取る川田騎手は追わせる騎手で、リアアメリアもオークス4着に持ってきていますから、そのあたりは期待できそうですが。
皐月賞4着ウインカーネリアンは、オークスを沸かせた「ウイン」軍団の1頭で、マリリンと同じスクリーンヒーロー産駒、先行脚質と、かぶる部分が多い。
やはり競馬には「流れ」というものがありますから、その意味ではダービーでも穴候補の1頭になるかも?
武豊サトノフラッグを見直す手
そして、能力、素質で言えば、やっぱり3番手として落ち着くのが皐月賞5着のサトノフラッグなんだと思います。
おそらく、皐月賞でファンを一番がっかりさせた競馬をしたのがこの馬で、本命にしていた僕も大変ショックでございました。
敗因もなんだかよく分からない感じですが、重馬場を走った弥生賞の疲れが微妙に残っていたんですかね? もしくはキリキリに仕上げすぎたのかも?
なんにせよ、ハッキリした敗因が分からないということは、ポジティブに考えれば皐月賞の結果がこの馬の力の全てではないということ。
国枝調教師、マーフィー騎手が絶賛しているその素質に再度期待したい部分は大きいですし、今度は弥生賞で素晴らしい勝ち方をした武豊騎手に戻ります。加えて、東京コースは2歳未勝利戦をレコードで圧勝した舞台。
巻き返せる余地は十分すぎるくらいにある!……のですが、やっぱり皐月賞の負けっぷりも気になるところで……
ワーケアの異例ローテはむしろプラス?
それら皐月賞上位組に今一つピンと来ないのであれば、弥生賞からダービー直行という異例のローテを組んできたワーケアを2強打倒の1番手に取る手もありますね。
エンジンのかかりが遅い分、中山よりも広い東京コース向きですし、距離が延びるのもいいでしょう。
また、2カ月半ぶりで好走例のない弥生賞→ダービーのローテですが、外厩が整っている今の時代はあまり過去のローテが参考にならない。むしろ皐月賞を使わずにゆったりした間隔で走れる分、他馬よりフレッシュで力を十分に出せる状態にあるとも言えます。
追って確実な安定感もあるし、2強に迫る(可能性のある)3番手はワーケアのような気がしてきたゾ。
現時点での予想です(実に普通)
というわけで、現時点での予想はこう!
◎コントレイル
○サリオス
▲サトノフラッグ
△ワーケア
まあ、普通です。今のところは。
ただ、ダービーは3連単まで考えると、案外と波乱傾向のあるレースなので、△以下は今回取り上げた馬たちはもちろん、思い切った穴馬まで考えていきたいです。
皐月賞組で言えば、稍重という微妙な馬場コンディションでしたから、それこそリアアメリア、マジックキャッスルみたいにパンパンの馬場になって変わってくる馬が出てくるかもしれない。
また、トライアル&ステップ組からも1着馬だけじゃなく、ロジャーバローズのように2着馬が大激走する目もありますからね。
基本的には皐月賞組を上位に考えつつも、そのあたりも含めて、じっくり見極めていきたいと思います。

木曜発表の枠順もすごく大事です!
最終結論は土曜お昼頃を目標に公開しますので、その時またお時間ありましたら、ぜひ遊びに来てください。
よろしくお願いします!