第87回日本ダービーは、福永祐一騎手騎乗の1番人気コントレイルが圧勝。父ディープインパクト以来、15年ぶり史上7頭目となる無敗での皐月賞&ダービーのクラシック二冠を達成しました。
強かった~。
コントレイル号、福永騎手、矢作調教師はじめ厩舎スタッフ、牧場スタッフ、オーナー関係者の皆さま、本当におめでとうございました。
さて、今週も「強かった」くらいしか言葉が浮かばないレースでしたけど、2020年のダービーを振り返ってみたいと思います。
目次
第87回GⅠ日本ダービー 回顧・総評
折り合い良く絶好位、この時点でほぼ勝負アリ
逃げ馬不在でどうなることかと注目されていたハナ争いは、大外18番のウインカーネリアンが主張して行きましたね。

これは僕が事前に予想していた通り(自画自賛)!
まあ、僕のダービー予想が当たったのはココくらいのもんでしたが……。
そんなどうでもいいことはさておいて、前半1000mのペースが61秒7。特に400m~600mのラップが12秒9にガクッと落ち込むなど、今日の馬場コンディションを考えればかなり遅いペースでしたね。
皐月賞で新境地を見せたとはいえ、まだ少し折り合いに不安のあるコントレイル。引っ掛かってもおかしくないペースの中、しっかりと我慢できていました。
見た目にはギリギリのところで折り合っているのかなという印象でしたが、勝利ジョッキーインタビューでの福永騎手の言葉を聞いていたら、そうでもなかったようですし、横山典騎手の“仕掛け”にも幻惑されずに、自分のリズムを守っている姿を見たら、思わず「う~ん……」といい意味で唸ってしまいましたよ。
それでいて4、5番手の絶好位を運んでいるのですから、この時点でほぼ「勝負アリ」だったような気もします(結果論ではありますが……)
「遊びながら」ダービーV、どこまで強くなるのか
この位置からだったら包まれることもないですし、何より前を行く馬たちとは手応えが違う。そんな中で福永騎手は最後の直線でどこを通るのかなと思っていたら……
なんと!外でした!!
たぶん、これは大外から勢いよく迫ってきたサリオスに併せる目的もあったのだと思いますが、この馬場のど真ん中を真一文字で伸びてくる姿は、父ディープインパクトを思い出させるものでしたね。
なんか、当時見ていた思い出がブワーッとフラッシュバックするような感覚。
サリオスが馬体を並べることが全くできないくらい、後続を突き放す瞬発力は本当に素晴らしかったです。しかも、福永騎手が言うにはあれでも「遊んでいる」のだから、

本当に末恐ろしい子……!
そして、そんな未完成な馬が圧倒的な強さで皐月賞、ダービーのクラシック二冠を制するのですから、底も天井もまだまだ見えない――というところが、本当に大きな可能性を感じさせてくれるのです。
皐月賞はもちろんなのですが、ダービーと言うレースも実は「完成度」が高い3歳馬が勝つレースです。古馬になってから完成する、というような晩成馬が勝てるレースではありません。それはダービー馬が古馬になってから案外活躍できないことからも、なんとなく分かっていただけるのではないかと思います。
しかしながらコントレイルは、素軽い走りや祖母が米ブリーダーズカップ・ジュベナイルフィリーズの勝ち馬という血統から一見して完成度が高そうな印象も受けますが、実は1歳の暮れから2歳の5月までの約半年間、人を乗せられない時期があったと、矢作調教師は明かしています。
球節に不安が出たためとのことですが、デビューへ向けての大事な時期にこれだけ調整が遅れた、調教を積めなかったにも関わらず、今の強さです。
つまり、精神面だけじゃなく、コントレイルは身体面においても、まだまだ成長途上なのではないかと、僕は思っているのです。
『完成』した暁には、どれほどの馬にまでなるのか――ディープインパクト産駒の最高傑作であることはもちろん、ひょっとしたら父を超えるのかも?
アーモンドアイ、デアリングタクトとの頂上決戦へ
そうなると、楽しみなのは秋の進路。
オーナーからは早くも「三冠を狙いに行くぞ」という指令が下ったようですね。
先週のオークス回顧でも書いたように、ここまで来たら無敗の三冠馬となった後に、東京2400mの舞台でアーモンドアイ、デアリングタクトと対決してほしいなぁと思っています。
もし、デアリングタクトも無敗で三冠を達成したら、これほど盛り上がることはもう数年、いや数十年先までないかもしれません(3頭のベストな距離適性を考えたら2000mが一番いいんでしょうけど……)
その空前絶後の対決へ向けて、まずは無事に過ごしてほしいと、もうそれだけです。
そして、来週の安田記念にはアーモンドアイが出陣。
デアリングタクト、コントレイルの後輩3歳馬が見せたとんでもない強さを受けて、日本最強馬がどのような競馬で応えるのか――非常に楽しみです!
今週のひとり大反省会
1着○コントレイル
2着△サリオス
3着 ヴェルトライゼンデ
4着 サトノインプレッサ
5着△ディープボンド
……
9着◎マイラプソディ

「何か」やってくれた横山典マイラプソディに悔いなし
我が◎マイラプソディは9着でした。
馬券も盛大に外しましたけど、僕としては概ね満足ですよ。ええ。

決して負け惜しみではなく……!(ホントは悔しい)
でも正直な話、昨日の予想記事では「横山典騎手なら“何か”やってくれる!」と書きましたが、その通りの“仕掛け”を展開してくれたうえ、一瞬残れるか?ってくらい頑張ってくれましたからね。
残り1ハロンくらいまで「コントレイル-マイラプソディ-ディープボンド」で決まるんじゃないかと思って、こっそり3連単握っていた僕としては心臓が破裂するかと思うくらいドキドキしました。
そのドキドキがもらえただけでも、今年のダービー馬券に悔いはありません。
2020年のダービー馬を目指した7262頭の3歳馬の皆さま、本当にお疲れ様でした。今年も凄く楽しかったです!
次週からは2021年のダービー馬を目指す戦いがスタート!
……。
………。
…………。
毎年そうですが、なんかこう、今の時間は一気に気が抜けたような感覚になってしまいますよね。

ああ、1年終わったなぁ……という感じ。
今年は競馬場(つまり現場)に行けなかった分、その喪失感は実は例年より少ないのかもしれませんが、それがかえって寂しさを助長しますね……。
来年こそは現場でダービーを見たい!
そして、2021年のダービー馬を目指す2歳馬たちの戦いが次週からスタートします。コントレイルやデアリングタクトのようなスター候補生たちの登場を、今から心待ちにしたいと思います。