今週の土曜中山のメインレースは1200m芝のGⅢオーシャンステークス。3週後に迫った春のスプリント王決定戦、GⅠ高松宮記念に向けた最後のステップレースとなります。
ここには昨秋のGⅠスプリンターズステークスの覇者タワーオブロンドンが出陣。秋春スプリントGⅠへの始動戦となりました。
一方、西からはGⅠスプリンターズS3着のダノンスマッシュが参戦を表明しており、東西を代表するスプリントトップホースが激突。本番を占う意味でも大きな一戦となりそうです。
この2頭に割って入る馬がいるのかも含めて、有力馬の分析といきましょう!
目次
有力馬ピックアップ解説
中心は昨年のGⅠスプリンターズSの覇者タワーオブロンドンです。
昨年春までは1400m~1600mを中心に使われていましたが、夏からスプリント路線に転向。これがバッチリとハマりました。
千四やマイルが決してダメというわけではありませんが、千二で見せる競馬はそれまでとは1枚レベルが違う強さ。ルメール騎手は早くからスプリンターとしての素質を見抜いており、夏のGⅢキーンランドカップでは2着ながら「とても良いスプリンターになる」と確信したと言います。
そしてスプリンター転向の準備期間として必要だった夏の北海道2戦を経て、秋は完全開花。出来そのものがアップしたことも合わせて、GⅡセントウルステークス、GⅠスプリンターズSでの完璧な勝ちっぷりは皆さんもご存じのとおりですね。
ルメール騎手はまた、スプリンターズS後にタワーオブロンドンについて、こうも言っていました。
「彼のリミットはまだ分からない。どこまで強くなるのか分かりません」
充実の4歳秋を経て迎える完成期の5歳シーズンはどのような競馬を見せてくれるのでしょうか。非常に楽しみです。
タワーオブロンドンに土をつけるとしたら、同じ5歳の同期ダノンスマッシュしかいません。
これまでスプリント重賞を3勝。GⅢキーンランドCではタワーオブロンドンを下しての勝利でした。スプリンターズSではタワーオブロンドンを抑えて1番人気に支持されており、スプリンターとしての資質は一歩も引けを取りません。
昨秋の大一番では3着と敗れ、形の上では完敗。しかし、タワーオブロンドンが真ん中の枠から外をスムーズに進出してこられたのに対し、ダノンスマッシュは1枠2番スタートからインでもまれ、そこから最後の直線で外に持ち出すのにやや手間取りました。
完璧な競馬だったタワーオブロンドンと比べて、決してスムーズではない競馬ながら、最後は半馬身+クビ差まで詰め寄る3着。力負けとするにはまだ早いのではないでしょうか。今回、そして高松宮記念での逆転は十分狙えると思います。
今回は12月の香港スプリント8着以来、およそ3カ月ぶりの実戦なりますが、1週前の坂路では4F49秒6(!)の自己ベストをマーク。時計が出やすい馬場だったとはいえ、かなり速いタイムには変わりませんし、この時計はこの日の栗東坂路で追い切られた馬の中で最速でした。

タワーオブロンドン以上に仕上がっていると見ていいかもしれません。
上位2頭に続く3番手となると、ナックビーナスになるでしょう。
2018年GⅢキーンランドC勝ちの実績もさることながら、このGⅢオーシャンSは17年、18年、19年と3年連続で2着に連対。この相性の良さは無視できませんね。
レース&コース相性だけでなく、同じ中山1200m芝で行われた2走前のリステッドレース・ラピスラズリSを2馬身半差で快勝し、前走のOP特別タンザナイトS(阪神1200m芝)も2着を確保。今年7歳になるベテラン牝馬ですが、衰えなく好調をキープしています。
また、今回は3カ月ぶりの競馬。過去3年と比べて最もレース間隔があきましたが、昨年も2カ月ぶりのレースで2着に来ていますし、3カ月以上あいたレースでも重賞で3着が2回と、鉄砲が利くタイプ。そうマイナスにとらえる必要はなさそうですね。
オーシャンS最大のリピーターであるナックビーナスが、5歳牡馬2強にどこまで迫れるでしょうか。
ほか、重賞2勝のダイメイプリンセス、差しに威力秘める古豪ティーハーフ、ラピスラズリS2着など近走好調のハウメア、中山1200mでは安定して走れるレジーナフォルテ、GⅢアイビスSD2着のスピードあるカッパツハッチなどが上位候補となります。
現時点での見解
ここはどう見てもタワーオブロンドン、ダノンスマッシュの一騎打ち。
両雄ともに次の本番を見据えた仕上げとなりますが、1週前追い切りでは互いに陣営納得の時計、動き。とくれば、休み明けの凡走も考えにくいのでは?
興味はこの2頭の“後先(あとさき)”。
昨秋からの充実ぶりを考えればタワーオブロンドンが一歩リードしていると思うのですが、今回は別定戦となるため、タワーオブロンドンの斤量が58kgに対し、ダノンスマッシュは56kg。単純にこの2kg差は大きいと思いますし、ダノンスマッシュほどの実力馬が56kgで走れるというのはまさに“恵量”。かなり有利なのではないかと見ています。

それでもタワーオブロンドンが力でねじ伏せそうな気もしますが……
同期のスプリントライバル物語、高松宮記念まで目が離せないです。
これに続くとなると、実績・レース相性からもやはりナックビーナスでしょう。オーシャンS3年連続2着が示すように、とにかく中山1200mで走る馬。2強にまともに走られては2着も厳しいかと思いますが、どちらか一方が休み明けでもたつくようなら、割って入ることも十分可能だと思います。
ただ、ナックビーナスとそれ以外の馬たちの力差はかなり小さいと思います。つまり、3着候補は大混戦。何が入っても驚けないメンバー構成だと思いますので、3連複、3連単は思いもよらぬ好配、高配が飛び出すかもしれないですね。
弥生賞、チューリップ賞の展望
3歳クラシックへ向けた最重要トライアルレース、GⅡ弥生賞ディープインパクト記念、GⅡチューリップ賞の展望記事も合わせて公開しています。サトノフラッグ、レシステンシアら有力馬の徹底分析、また現時点での予想見解を掲載しておりますので、よろしければ合わせて参考にしてみてください。

