前回の大阪杯展望①では、ブラストワンピース、ダノンキングリー、ワグネリアンの牡馬有力どころを解説&分析しました。

今回は、それら男たちをなぎ倒してしまいそうなほどに強力で魅力的な牝馬を取り上げたいと思います。
目次
有力馬ピックアップ解説
ラッキーライラックの昨秋から現在にかけての充実ぶりは本当に驚くばかりです。
もともと無敗で2歳女王になり、牝馬三冠すら期待されていた天才肌ですが、それを上回る天才アーモンドアイの出現で無冠に終わりました。
そのショックが尾を引いたのか、その後は惜しい競馬ながら勝ち切れない日々……。
しかし、その暗いトンネルに終止符を打ったのが昨年のGⅠエリザベス女王杯でしたね。それまでの詰めの甘い競馬がウソのような快勝でした。
続く国際GⅠ香港ヴァーズでも、地元の強豪エグザルタントを最後の最後に競り落としての2着確保。素晴らしい勝負根性を見せてくれたと思いますし、その力が国際レースでも通用すると証明してみせました。
この馬の良い点と言えば、やはりどこからでも競馬ができるセンスの良さ、そして、最後までしっかり走ってくれる安定感だと思います。
前走の中山記念にしても、ダノンキングリーには完敗しましたが、その他の牡馬GⅠ馬は撃破。ラッキーライラックとしても“次”につながる好内容の走りを見せてくれています。
今回、距離が200m延びることと、4戦[2・1・0・1]と実績のある阪神コースを味方に逆転があっても驚けません。また、ダノンキングリーとの斤量差は前回の1kg差から2kg差に広がる点も有利でしょう。
1つ年下の秋華賞馬クロノジェネシスも、先輩に負けないくらいの成長期ですね。
こちらはGⅡ京都記念を完勝してのGⅠ参戦。2200mの距離不安をささやかれていた前走ですけど、ふたを開けてみれば何も問題がないレースぶりでした。
しかも、馬体重プラス12kgは、成長分もあったとは思いますが、やはり多少の太目は残っていたと思います。それでいて、牡馬の強豪を相手にあの勝ち内容ですから、クロノジェネシスの能力は牡馬GⅠ級に混じっても、なんら見劣りするものではありません。
もう一つ言えば、京都記念の前に北村友一騎手が「気性面の課題」を挙げていたニュースを見たのですが、実際のレースではそんな素振りはまったく見せずに折り合いバッチリ。心身ともに大きな成長を見ることができた前哨戦だったと思います。
阪神では2戦して勝ち鞍はないのですが、阪神JF2着、桜花賞3着といずれもGⅠで好走。また、2200mで勝ったとはいえ、やはりこの馬の適性を考えれば距離が1ハロン短くなるのは好都合でしょう。
現時点での見解
サートゥルナーリアという大きな「核」が出走を見送ったので、多少の格落ち感は否めない今年の大阪杯。
ただ、予定している12頭(うち重賞馬10頭、GⅠ馬5頭)の中でも初対戦の組み合わせは割と多く、マンネリ感はないので勝負論で言えば、なかなか面白い組み合わせになったと思います。
その中でも有力視されているのは、やはり今回の大阪杯展望①②で挙げた5頭でしょうか。
1番人気が予想されるのはダノンキングリー。
GⅠ未勝利ではありますが、優にGⅠ級と言っていいくらいのポテンシャル、レースを見せており、この相手関係ならアッサリもありそうと思えるほどの逸材。
ただ、展望①でも書いたように、千八で強すぎるためにこれが1ハロン延びての2000mになるとどうなるのか?

ましてパワーも必要とされる阪神で。
となると、パワー、スタミナにも自信を持つブラストワンピースの方に条件が合いそう。
ただ、こちらはダノンキングリーと比較して、安定感という点で信頼があまり置けないこれまでの成績。なので、勝つときはスンナリ勝つけど、負けるときは惨敗……今回もそんな感じかもしれないですね。
また、高松宮記念もそうでしたが、天気と馬場も重要ですね。
晴れのパンパン良馬場ならダノンキングリー、多少でも渋ればブラストワンピースか。今のところ週末の関西地方は晴れのようです。
そんな強力関東2枚看板に挑む関西馬の代表は、2頭の牝馬。
ラッキーライラック、クロノジェネシスの充実ぶり、成長度合いはまったく引けを取らず、牝馬でワンツーを決められるくらいの力が、この2頭にはあると思います。
では、現状どちらが上か?
エリザベス女王杯での直接対決、その後の香港ヴァーズ、中山記念と、戦ってきた相手を考えればラッキーライラックの方がリードしてるかなと思う一方、京都記念で見せたクロノジェネシスの競馬は素晴らしかったですからね。

マジで甲乙つけがたいです。
僕としては「こっち!」と断言できる根拠もデータも今のところないので、こんなこと言っては身もふたもないですが、これはもう“好み”ではないでしょうか。
また、関西では忘れてはいけない一昨年のダービー馬・ワグネリアンがいます。
ダービー以降、突き抜けるレースがなく、今回も休み明け。
いろいろと不利な点はあるのですが、今回はかなり順調に稽古を積めている様子で、内容もハード。
昨年は神戸新聞杯以来およそ半年ぶりのレースでも僅差3着に好走しました。それ以上の仕上がりで出てくるとしたら、ダービー以来の勝利が十分手の届くところにあるはずです。

僕個人としてはまだまだワグネリアンを見限っていませんよ!
なので、とりあえずの結論としては、関東2頭がリードもその差はわずかで上位5頭の混戦。
ほか、武豊騎手に乗り替わって挑むロードマイウェイの一変があるかもしれないですし、もう1頭のダービー馬・マカヒキの前走JCが上がり最速で4着。同じように後方に徹する競馬で一発あるかもしれないし、去年の大阪杯も追い込んで4着でした。
このあたりの穴っぽい馬も含めて、週末に結論を出したいと思います。