日本時間2月29日の深夜に初開催された総額22億円の世界最高賞金レース、サウジカップ。
クリソベリル、ゴールドドリームの日本馬2頭は残念ながら7着、6着に敗れたが、改めて思ったのは米国最強クラスの壁はまだまだ厚いということだった。
日本馬2頭、ゲート出負けが悔やまれる
前半からハイペースで飛ばしてもなお、それがゴールまで持ってしまうという米国特有の競馬を展開されてしまうと、今の日本馬にはただでさえ厳しい。それだけにクリソベリル、ゴールドドリームともにスタートが決まらなかったことがなおさら悔やまれる。
それでもゴールドドリームは3着はあるかという手応えだったし、これが1800mならもっと好勝負になっていただろう。
また、クリソベリルにしてもサウジ到着後に馬体がかなり減ったようだったので、慣れが見込める海外2走目のドバイではこの日の悔しさの分まで大前進を期待したい。いや、それができる馬だと思っている。

それにしても、マキシマムセキュリティのケツのデカさは凄かったですね
武豊騎手&森厩舎の挑戦の歴史を思えば
一方、武豊騎手騎乗のフルフラットがサウジサンバダービーを制し、サウジアラビアにおける歴史的な日本馬初優勝を飾った。
さすが絵になる男・武豊だと思ったし、それが森厩舎の馬ということがまた感慨深い。
森秀行調教師といえば、フジヤマケンザン、スキーキャプテンをはじめ、シーキングザパール、アグネスワールド、エアシャカールと、早くから日本馬の海外遠征をけん引してきたトレーナー。90年代からの森調教師の積極的な海外、地方を問わずどこでも行くという遠征志向がのちの調教師に与えた影響は大きかったと思うし、その馬の背の多くには武豊騎手がいた。
だから、この武豊&森コンビが挙げたサウジ初勝利は、これまでの挑戦の歴史を考えれば当然のことだったのかもしれないし、日本のホースマンにまた1つ大きな勇気を与えたことだろう。
サウディアスプリントで惜しい2着だったマテラスカイを含め、次はドバイを予定とのこと。フルフラットはさらにステップアップして米国ケンタッキーダービーにまで挑戦してほしいし、マテラスカイも今度こその1着を期待するとともに、秋には再び米国BCスプリントを目指してほしい。

もちろん、その鞍上は武豊騎手で。
ディアドラ悔しい2着も、凱旋門賞への第一歩に
また、ディアドラも惜しかった。ここは勝っておきたい相手だったし、テレビに映った橋田調教師、マーフィー騎手の表情も悔しさでいっぱいだった。それだけディアドラが海外レース2着で喜んでいいレベルの馬ではなくなったということだ。
一方で、敗れたとはいえ初の土地でも安定して走れる精神力があり、ものすごくタフな馬だということも改めて証明した。
昨年の海外転戦はディアドラを本当に強くしたと思う。JRA・GⅠの勝利数ではディアドラより上の牝馬はたくさんいるが、そうした数字では表せない歴史的な牝馬へと歩み続けている。
今年の大目標である凱旋門賞まで、再び“日本代表”としてヨーロッパを舞台に活躍してほしいし、レースこそ違えど同じサウジで走ったマジックワンドとの日欧“鉄の女”対決がまたどこかで実現しないかと、今からワクワクしているのです。