ドバイワールドカップデーの中止は本当に悲しいですね。
現在の新型コロナウィルスによる世界情勢を考えると仕方ないとはいえ、もっと早く決定することはできなかったんでしょうか。
すでに現地入りしているアーモンドアイをはじめとしたサラブレッド、ジョッキー、助手さんらが本当にかわいそうです。
とはいえ、決まってしまったものはどうすることもできませんので、人馬ともにドバイから無事に帰国するのを願うばかり。
一方、日本ではいよいよ春のGⅠ開幕戦、高松宮記念が行われます。
ドバイや欧米競馬のことを思うと、予定通りの番組で進行している日本の競馬にはありがたさしか感じません。
サラブレッド、ジョッキー、厩舎・牧場スタッフほか競馬関係者の皆さん、この厳しい状況の中、ありがとうございます。
あとは、どうにか大観衆の中でGⅠを開催できればというところですが、今週末はどうなるでしょうか。
まだ当分は厳しいだろうなぁとは思いますが、通常開催への期待を持ちつつ、高松宮記念の有力馬を解説、分析していきたいと思います。
有力馬ピックアップ解説
まずは、秋春スプリントGⅠ連覇を狙うタワーオブロンドンから。
マイルからスプリント戦線を転じた昨夏からの活躍は、もう今さらここで触れる必要はないでしょう。特にGⅡセントウルステークス、GⅠスプリンターズステークスを連勝した内容が圧巻。

これはしばらくタワーオブロンドン時代が続きそうだな
そんな予感すらさせる強さでした。
そして迎えた、海外遠征も視野に入れた2020年シーズン。
初戦となった前走GⅢオーシャンステークスは3着。連すら確保できず、また同世代のライバル・ダノンスマッシュから0秒7差という“完敗”にちょっと心配する向きがあるかもしれません。
しかし、乗り込まれていたとはいえ、レース前の追い切りに騎乗したルメール騎手は「1回使ってから」というジャッジでしたし、もともと休み明けはあまり走らないタイプの大型馬。オーシャンSはまさにその通りの内容で、伸びあぐねた走りはいかにも休み明けといった感じがしていましたね。
昨年もキーンランドカップ2着からセントウルSでの変わり身は物凄かったですし、この中間もグングンと出来をアップさせていることでしょう。 藤沢和雄調教師も「素軽くなっている」とコメントしているニュースもありました。
今回は本領発揮、巻き返しの一戦となりそうですね。
昨年のJRAスプリントGⅠ戦は2戦ともに1番人気に支持されながら、高松宮記念4着、スプリンターズS3着と敗れたダノンスマッシュ。
これまで“あと一歩の馬”だったのですが、今度こその悲願が近づいてきた――そう思わずにはいられない前哨戦オーシャンSの勝ちっぷりでした。
逃げ馬がそろった中で1枠はどうかなと思っていた前走。また、ゲートで出負けしたこともあって決してスムーズなレースではなかったと思います。それでもすぐに先行集団に取りつくと、最後の直線は悠々の抜け出し。
終わってみれば、何の問題もないどころか、逆にライバルを4馬身以上も突き放す完勝でした。
1200m戦で「4馬身差」というのは、圧勝以外の何物でもありません。
一方で、中京コースでは先の高松宮記念以外にもう1戦、3歳時にGⅢファルコンステークスを走っていますが、1番人気で7着と敗れました。つまり、2戦して結果を残せていません。

これの理由の1つが「直線の坂」ではないか
と僕は思っているのです。
昨年までは背腰にまだ緩い部分があったようで、それが原因で最後の坂で踏ん張りが利かなかったのではないかと推測。
ところが、5歳を迎えてその緩さも解消。栗東坂路で4F49秒台の超抜時計を連発するようになりました。
その成果が中山オーシャンSで見せた圧倒的な強さであり、同じく最後の直線で坂が待っている中京コースももう苦にしないはず。
となれば、オーシャンS同様の“圧勝”も十分にある話でしょう。
芝&ダートの二刀流王者モズアスコットが、“3階級制覇”を目指し高松宮記念に参戦予定です。
と言っても、当初から狙っていたものではなく、予定していたレースが使えずにこちらへ……というもの。
もともと、オーストラリアの芝マイルGⅠに狙いを定めて調整されていましたが、例の新型コロナウィルス問題で遠征ができず、ならばと急きょこちらに矛先を変えてきました。
当所の目標レースは高松宮記念よりも1週先だったので、この急仕上げがどう出るか。
陣営としてはもちろん、力を出せる状態にあると判断できればの条件付きでしょうから、もし出走してくるとなれば、矢作厩舎のことですから仕上がっていると見ていいのでしょう。
しかし、やはり、もともとなかった予定を変えての出走というのはマイナス点と言わざるを得ません。
また、モズアスコットはこれがスプリントレース初体験。安田記念馬ですが、どちらかと言えば1400mの方に良績があるので、案外いけるのでは?とも思う一方で、ダートでスランプを脱したことを考えると、もう今は芝のスピード勝負はつらいのかも……とも思います。
いずれにせよ条件ベストとは言い難いですし、常識的には割引かなと思います。
……が、ダートとはいえ前走の恐るべき強さを考えると、モズアスコットはその“常識”が通用しない馬に生まれ変わっている可能性も……
ひとまず、今回の有力馬解説&分析はここまで。
高松宮記念展望②ではグランアレグリア、ノームコアら別路線組を取り上げています。

また、現時点での予想の見解も述べさせていただいていますので、お時間ありましたら、上記の記事もぜひご覧になってください。