高松宮記念2020展望①ではタワーオブロンドン、ダノンスマッシュ、モズアスコットを解説&分析しました。

引き続き、高松宮記念の出走予定馬の中から有力候補の解説&分析をしてみたいと思います。
今回取り上げるメンバーは「別路線組」。その中でもグランアレグリア、ノームコアの2頭はスプリント初挑戦ながら、1200mを主戦場にしてきた馬たちと同等か、それ以上に魅力にあふれています。
また、上がり馬から魅力的な1頭、武豊騎手騎乗が決まったアイラブテーラーをピックアップしました。
目次
有力馬ピックアップ解説
昨年の桜花賞馬グランアレグリアこそ、今年の高松宮記念で最も注目を集めている馬とも言えますね。
本来ならば昨秋のスプリンターズSで1200mデビューする予定でしたが、脚元の不安のためこれを回避。結局、秋初戦は12月のGⅡ阪神カップまで延びてしまったわけですが、そこでも見せた強さがズバ抜けていました。
初の古馬相手でも、まるで競走馬としてのレベルが違うと言わんばかりの走り。中団待機から直線だけで2着馬を5馬身突き放しました。
それもほぼ持ったままで。

改めて、恐ろしい馬だなぁと思いましたよ。
気性がかなり前向きなタイプですから、1200m戦は好都合でしょうし、1400mであれだけの競馬を見せたのですから、スプリント戦でもスピード負けはしないと思います。
また、今回はその阪神C以来、3カ月ぶりの競馬になりますが、サウジアラビアRC、桜花賞、阪神Cはいずれもぶっつけでの勝利でしたから不安はありません。むしろ、休み明けが一番走るのではないかとも思えるくらい。1週前追い切りも今回コンビを組む池添騎手がまたがり、好感触を得た様子ですね。
1番人気になりそうな雰囲気ですが、この千二でどのような競馬を見せてくれるのか、非常に楽しみです。
昨年のマイル女王、ノームコアもマイルから転じてのスプリント初参戦です。
何より同馬の昨年のハイライトはGⅠヴィクトリアマイル。レーン騎手を背に5番人気で勝利をもぎ取り、なんとマークしたレコードタイムが驚きの1分30秒5!
近年の東京コース芝は異常に時計が出る状態ではあるのですが、それにしても……の時計です。この数字だけ見れば、スプリント勝負もどうにかなってしまうのでは、というロマンがありますよね。
また、ヴィクトリアマイル連覇や安田記念を狙うのであれば、普通にマイラーズカップとかを使えばいいわけで、それをしないであえて高松宮記念に出てくるということは、それ相応の自信があってのことと見ていいのではないでしょうか。
そして、秋のGⅢ富士ステークスでも牡馬を相手に完勝しており、暮れの国際GⅠ香港マイルでも4着。ヴィクトリアマイルは単なるフロックではなく、ノームコアは今や牡牝合わせて見ても国内トップマイラーの1頭にまで力をつけました。
鞍上も一発やってくれそうな横山典騎手。ますます怖い存在に思えてきました。
以下、GⅢシルクロードステークスを勝って勢いに乗るアウィルアウェイ、こちらも初のスプリント戦で新味開拓が期待されるステルヴィオ、17年の高松宮記念勝ち馬で中京千二との相性抜群セイウンコウセイなど、穴っぽい馬はゴロゴロそろっています。
さすがGⅠレースですね。
その中から特に挙げたい1頭がアイラブテーラーです。
今春スプリント路線最大の上がり馬になる可能性を秘めているのがこの馬。
昨年2月のデビュー戦からおよそ1年、これまで7戦して[5・2・0・0]。1200m~1400m芝でパーフェクト連対を続けています。
父がトーセンラーで、母系にも目立った馬は出ていません。netkeibaによりますと、17年北海道サマーセールでの落札価格は864万円です。新馬戦も10番人気でした。
そうした馬があれよあれよの連勝街道でオープン入り。勝ちっぷりも決して派手ではありませんが、毎回確実に直線は伸びてきますし、最後に差し切る勝負根性は特筆もの。GⅢ京阪杯2着も、4コーナーで落馬した他馬の影響を受けながらも、ひるまずにゴールまで鋭く差し込んできました。
この強さと根性はどこから来るのかと血統表を眺めていたところ、いやでも目立ってしまうのが「サンデーサイレンスの3×3」。
僕は血統評論家ではないので、安易なことは言えませんが、こういうやや濃いめのクロスが時として爆発的な能力を生み出すのは、エルコンドルパサーとかエネイブルとか、過去の歴史的名馬にも見られたこと。
もちろん、現時点ではそうした名馬たちと同列に語ることはできませんし、アイラブテーラーはまだ重賞2着が最高で、実績的には格下。ですが、日本の血統地図を塗り替えたSSの濃い血が何か奇跡を起こしそうな、そんな魅力を持った馬だとも思います。
また、血統も落札価格も地味な馬が、エリート血統の高額馬を打ち負かしてのGⅠ勝利というのは、いつの時代でも盛り上がりますよね。

ド庶民の僕も個人的に応援したい1頭です。
現時点での見解
これまでのスプリント実績を考えれば、タワーオブロンドンとダノンスマッシュ。この5歳牡馬2頭の争いと見るのが当然の流れなのですが、今年はそれ以上に魅力的なのが別路線組。
特に桜花賞馬グランアレグリアの能力は底知れず、初のスプリント戦でも阪神Cで見せたような恐るべき強さを発揮してくるのでは……と思わずにいられません。
レース当日も1番人気になりそうですし、僕個人としてもこのポテンシャルの大きさに心惹かれます。
ただ、グランアレグリアがそうですし、タワーオブロンドン、ダノンスマッシュにも言えることなのですが、今回は人気馬のジョッキーが乗り替わってテン乗りになる。
これがどうなのか、ということです。
ひょっとすると今年の宝塚記念、スプリント適性とか力関係とか中京コースとか、そういったことよりも最も重要なファクターなのかも。
もちろん、みなさんそれぞれ一流ジョッキーですから、ことさら不安視すること自体が失礼な話かもしれません。ですが、相手はサラブレッドという生き物であり、特有の癖もある。
そうしたことを1つ1つ理解している主戦からの乗り替わりは、やはり「大歓迎」とはなりません。
そうした騎手との相性や手替わりで能力を発揮できずに終わる馬がいるとすれば、とたんに穴馬の出番。ちょうど今回は穴っぽい馬が片手に余るくらいいますし、昨年は3連単449万円馬券が飛び出したレースです。
大波乱もあるぞという心構えで、週末まで本命馬をじっくり考えていきたいと思います。