さあ、今週は天皇賞・春です。
3000m級のレースの価値についてはいろいろと議論されて久しいですし、確かに僕が競馬を見始めたころと比べると、出走メンバーが寂しいなぁ、と思ってしまう年もあります。

でもですね、僕は好きなんですよね。淀3000m級のレースが。
思うに、長距離レースが好きというよりは、「淀3000m以上のコース」が好きなんだと思います。
やっぱり、あの2度の坂越えが何と言っても大きな見どころですし、その難コースをジョッキーと競走馬はどのように攻略していくのか――。
馬が強いだけでも勝てないし、ジョッキーが上手いだけでも勝てない。そうした人馬一体感や駆け引きを3分間堪能できるところに、僕はたまらない魅力を感じているのです。
さて今年、春の盾の栄誉をいただくのはどの人馬か?
登録馬の中から有力馬をピックアップして解説、分析していきたいと思います。
有力馬ピックアップ解説
中心となるのは何と言っても関東馬のフィエールマンです。
18年にGⅠ菊花賞を制し、昨年はGⅠ天皇賞・春を制覇。長距離界の絶対エースですね。
昨秋は凱旋門賞に挑戦し、残念ながら結果こそ出ませんでしたが、帰国後初戦のGⅠ有馬記念では不安視されながらも4着。しかも、アーモンドアイを真っ向から負かしに行く正攻法中の正攻法での結果でしたから、むしろ同馬に対しての評価がまた1つ高まったのではないでしょうか。
その有馬記念と比べれば、今回はそこまでメンバーがそろったわけではありません。実力・実績ともに1つ飛び抜けた存在と言えます。京都3000m級レース2戦全勝という相性の良さも加味すれば、ここは断然の本命候補と言えるでしょう。
不安を探すとすれば、有馬以来およそ4カ月半ぶり、今年初戦のレースという点になります。
ただ、フィエールマンはもともと体質的な問題から毎回レース間隔が開くタイプ。菊花賞も休み明けで勝ちましたし、去年の天皇賞・春も3カ月ぶりのレースでVでした。
それと比べても今回の方が休養期間はちょっと長いのですが、先週の美浦Wでの1週前追い切りでは絶好の動きを見せており、手塚調教師も「前走の有馬記念よりいいし、昨年勝った時よりもいい」と、仕上がりには自信を持っているようです。
これなら一安心でしょう。春の盾連覇へ準備は着々と整っています。
長距離の絶対エース・フィエールマンを負かすとしたら、やはり関西馬だと思います。
まずはキセキ。いろいろな意味で今走、大きな注目を集めそうですね。
というのも、前走のGⅡ阪神大賞典はビックリするくらいの大出遅れをかました上に、そこから暴走気味に先行して最後は失速……と、まったく競馬になっていない凡走でした。
これをどう見ればいいのか?
この中間も天皇賞に出る、出ないといったニュースがスポーツ紙各社でバラバラだったりで、かなり情報が錯そうしていましたね。
結局、天皇賞出走が正式に決まり、しかも鞍上には“盾男”武豊騎手を迎えました。
このコンビはすごく興味深いですよね。スタートが抜群に上手い天才・武豊が、出遅れ癖がついてしまったキセキをどう導くのか――。
武豊騎手が騎乗してのゲート再審査は特に問題なかったようですし、2週続けてまたがった追い切りでの感触も「やはりいい馬」「折り合いがついていたし反応も良かった」と上々のコメントを残しています。
17年の菊花賞馬で、GⅠ2着が3度。まともに走ればアッサリ勝っても不思議ではない、実力上位であることは誰もが知るところなので、武豊騎手とのコンビでの新味に期待したいところです。

実績では上記2頭に劣るものの、近走の充実ぶりで言えば一番と思えるのが、このユーキャンスマイルでしょう。
とにかく前走のGⅡ阪神大賞典が文句なしの快勝でした。
それまでは左回りの方に実績が集中していたため“サウスポー”という見方もされていましたが、そんな不安を完全に払しょくする走り。春の盾がしっかりと視界に入る好内容だったと思います。
また、右回りを不安視されていたとはいえ、一昨年の菊花賞3着、昨年の天皇賞・春5着など、京都は大崩れしたことがない得意コース。その当時よりも力をつけている今なら、さらに上の着順、つまり初のGⅠ連対も十分に狙えるのでは。
1週前の栗東CWでの追い切りでは、併走馬を大きく追走していたために見た目では遅れましたが、ユーキャンスマイル自身は6F77秒台の猛時計をマーク。友道調教師も納得のコメントを出しており、休み明けを1回叩いた上積みもバッチリだと思います。
ユーキャンスマイルにとって、条件、相手関係を考えてもGⅠタイトル奪取の最大の好機なのではないでしょうか。
もう1頭、メイショウテンゲンをピックアップしたいと思います。
何かこう、久々に表れた典型的なステイヤータイプ。スピードやキレ味はあまり感じられないのですけど、とにかくバテないですよね。追えば追うだけどこまでも伸びていくタイプ。
ただ、現代の日本競馬に求められる瞬発力という点では現状劣るために、メイショウテンゲンが浮上するためには展開や天気の助けが必要となります。
つまり、道中ハイペースになったり、雨が降って道悪になるなどして、とにかく上がりのかかる競馬、スタミナ勝負になることが条件でしょう。ライバル馬の瞬発力が削がれ、周りがバテバテになる競馬になればなるほど、メイショウテンゲンの出番というわけです。
さらに言えば、ここ3走連続で3000m以上の重賞を走っていますが、1走ごとに内容が良くなっているのも事実。実はすでにもう、スピード勝負にも十分対応できるくらいに成長しているのかも?
母は典型的な晩成タイプでしたから、その説は十分ありえることだと思います。
そのほかにもヒモ穴、3連系の馬券で穴になりそうな馬はまだまだいますが、展望記事①はひとまずここまで。

展望記事②では、武豊騎手とキセキの戦法を中心に考察し、週初めの時点での見解、予想、穴馬の可能性などを考えてみました。
お時間ありましたら、ぜひこちらも合わせて参考にしてみてください。 よろしくお願いします!