前回の「天皇賞・春2020展望①」では、フィエールマン、キセキ、ユーキャンスマイルなど有力馬をピックアップし、それぞれについて解説・分析していきました。
今回は、今年の天皇賞・春全体のレースそのものを分析し、現時点での見解、予想などを述べていきたいと思います。
現時点での予想と見解
- 武豊はキセキをどう乗るか?
- 軸としての信頼感はフィエールマンが断然
- ユーキャンスマイル充実も岩田が戦線離脱
- 穴は勢いのある4歳、もしくは逃げ馬

普通だったらキセキはもう買えない
2020年の天皇賞・春、予想をする上での一番の注目ポイントはズバリ!

武豊騎手とキセキでしょう。
各馬の力関係、ローテーション、仕上がり、調子とか、そういうものを抜きにしてまず考えたい武豊騎手&キセキのコンビ。
何せキセキは、一昨年秋から昨年春に見せていた安定した走りから一転して、全く「計算できない」馬になってしまったのです。
それもひとえに、有馬記念→阪神大賞典と連続してしまったゲート出遅れが原因。
それだけじゃなく、やっとゲートを出たと思ったら今度は制御が利かないまま、すぐさま先行集団に取りつくくらいの大暴走……という大立ち回りを演じました。
1馬身程度の出遅れだったら、3200mの長丁場を考えれば致命傷とまではならないかもしれません。腹をくくって後方待機策を決め込めば、最後に末脚勝負が生きてくるかもしれないですから。
でも、前走の出遅れを考えると、1馬身程度で済むのかという不安がありますし、例え許容範囲の遅れだったとしても、その後にちゃんとジョッキーと折り合ってくれるのか――そんな二重の不安を抱えることになってしまった前走の阪神大賞典でした。

まあ、普通だったら次も買えないですよね。
ゴールドシップも派手に出遅れた宝塚記念の後のレースは、いずれも惨敗に終わっています。
ただ、今回はその「普通」が当てはまりません。
というのも、鞍上に武豊騎手を配してきたのです。
武豊騎手と言えば、抜群にスタートが上手いジョッキー。ひどい出遅れ癖を持ってしまったキセキに対して、ユタカさんはどうアプローチするのか。
さらに、史上最多の天皇賞・春8勝を誇る「盾男」。
淀2マイルの攻略法を最も知っている天才が、癖馬をどうエスコートしてみせるのか――想像しただけでもワクワクしてしまいますね。
武豊はクセ馬・キセキをどう乗るのか?
と言って、武豊騎手が実際にキセキをどのように乗りこなすかは、凡人の僕では全く想像つきません。
ゲートを普通に出たら先行するのか?

いや、それは浅はかな素人考えで、例えゲートを出たとしてもユタカさんなら控えて行くのではないか?
とか、

いやいや、逃げ馬不在のこのメンバー、逃げない手はない。それも大逃げだ!
とか……。
ユタカさんなら何でもやってきそうで、しかもその全部がハマりそうなので、まずキセキがどの位置から行くのかという考えが全くまとまらないんですよね。
もうこの時点で、今年の天皇賞・春は当たる気がしないのですが……個人的な希望で言うと、「逃げ」を見てみたい。どのようなペースで後続を翻弄するのか、それこそ腕の見せどころですし、武豊騎手が長距離でつくるペースは本当に絶妙ですからね。
そして、その神騎乗で「平成の盾男は令和でも盾男だった」――みたいなシーン、見たいですよね。
一方で、ごく客観的に考えると、キセキが急に好スタートを決められるとも思えないので、控えていくのかなぁ、と。なんだったら差しを決めた17年菊花賞のように、中途半端な位置ではなくて、最後方くらいの勢いで控えるかも?

ああ、また抜けられない迷路に迷い込みそう。
もし、キセキがその辺の馬だったら、別にどこから行こうともあまり気にしないです。でも、まともに走ればアッサリ勝って不思議はない実力馬だけに悩ましい。
というわけで、今年の天皇賞・春を予想するにはまず、武豊&キセキの位置を決めてからになりそう。この展開予想だけで1週間悩み続けることになりそうだ……。
手堅くいくなら、やっぱりフィエールマン!
とはいえ、そんな一か八かの馬を中心にするくらいだったら、やはり安心できるのはフィエールマン。
昨年の有馬記念4着はむしろ能力の高さを再認識させてくれる立派な競馬でしたし、それに比べてメンバーの劣る今年の天皇賞・春なら、それこそ普通に走れば当然勝ち負けでしょう。
今回は4カ月半ぶりの今年初戦となりますが、もともと間隔をあけて使われてきたタイプ。菊花賞、昨年の天皇賞・春と、いずれも3カ月以上の実戦で勝ち切ってきました。
また、1週前追い切りのニュースを読む限り、動きは抜群のようで、手塚調教師も「有馬記念よりいい。メンバー的にも負けられない」と自信を隠さないほど。
余程の何かがない限り、大負けすることはないのでは?
ユーキャンスマイルは乗り替わりがどう出るか?
これに対抗できるのは、キセキ以外だと、ユーキャンスマイルです。
目下の充実ぶりは素晴らしく、昨年の天皇賞・春5着以上はもちろん、同馬にとってGⅠタイトル奪取の最大のチャンスだとも思います。
ただ、岩田康誠騎手の戦線離脱が痛いですよね。昨年2月のコンビ結成以来、本当に手が合うなぁというコンビでしたし、岩田騎手と言えば、アドマイヤジュピタ、レインボーラインと、阪神大賞典を勝って勢いを増した上がり馬でそのまま春の盾も制しました。
そんなかつての相棒たちを彷彿とさせるユーキャンスマイルだっただけに、本当に残念です。陣営にとってもこの「ベストマッチ」が崩れるのですから痛いところでしょう。
予想する上でも、評価を下げた方がいいのか、変わらず期待していいのか――代打を指名された浜中騎手にはこのチャンスを生かしてほしいところですが……。

充実目覚ましいトーセンカンビーナを特注で!
今年の天皇賞・春は上に挙げたフィエールマン、キセキ、ユーキャンスマイルが、人気の面でも中心。

しかし、この3頭が上位3着までを独占するかと言われれば……?
一方、天皇賞・春は過去10年で、3連複でも万馬券が8回も飛び出しているレース。つまり、例え馬連・馬単は平穏に収まったとしても、3連系の馬券ならば十分に大きな配当にありつける傾向があります。
では、3強の一角を崩して好配・高配をもたらしてくれそうな馬はと言うと……

個人的に推したいのは、キセキと同じ角居厩舎のトーセンカンビーナ。
敵は身内から、と言うように4歳馬トーセンカンビーナの上昇ぶりが見逃せないのですよ。
前走GⅡ阪神大賞典では、ユーキャンスマイルと同タイムの上がり最速で2着。馬群を割って伸びてきた末脚には見どころがありました。
また、この馬もキセキ同様に出遅れ癖がありますが、こちらは引っ掛かって行くタイプでもなさそうなので、末脚勝負に徹すればいいだけ。さらに、京都2戦2勝というのもいいですね。
キセキ以外に逃げて穴を開けそうな馬は?
ほか、天皇賞・春の大穴パターンと言えば、ビートブラックやイングランディーレのような「逃げ」。
今年はキセキ以外となると、ダンビュライトがその形にもちこめそうなタイプですね。
気性がメチャクチャ激しい馬でしたが、今回は去勢しての参戦となります。1週前追い切りではインディチャンプに楽々先着したように出来は絶好調のようなので、一発やってくれそうな予感もします。
また、馬場が渋れば当然、メイショウテンゲンの出番となりますが、オッズはそんなに美味しくないだろうなぁ……
と、まあ、そんなところを考えながら、追い切り、枠順なども含めて、週末に結論を出したいと思います。
皆さんは今年の天皇賞・春、どの馬から狙っていくのでしょうか?
金曜にGⅡ青葉賞、土曜に天皇賞・春の予想をアップしたいと思いますので、その際にはぜひ、また当ブログにお越しください!

また、展望記事①ではフィエールマン、キセキなど有力各馬を解説、分析しておりますので、お時間ありまたら合わせて参考にしてみてください。