第1回阪神開催3日目、今週土曜のメインは桜花賞トライアルのGⅢチューリップ賞が行われます。
翌日の中山では皐月賞トライアルのGⅡ弥生賞ディープインパクト記念も行われ、クラシックへ向けての最重要ステップレースが2日連続で開催ということに。
毎年恒例のこの番組構成ですが、チューリップ賞、弥生賞の名前を見ると、ついに来たか!と緊張感が高まりますよね。
しかも、チューリップ賞は昨年暮れの2歳女王決定戦GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズの上位4頭がそろい踏みとなりました。トライアルにするにはもったいないくらい、まさに“プレ桜花賞”の様相となっています。
本番と同じ阪神1600m芝で行われるチューリップ賞を制し、桜の女王へ王手をかけるのはどの馬か――有力馬を解説していきましょう!
目次
有力馬ピックアップ解説
まずは無敗の2歳女王レシステンシアから。
改めて語るまでもなく、阪神JFの走りは衝撃的でした。それまで1400m、しかも京都の平坦コースでしかレース経験がなかったため、距離を不安視されての4番人気でしたが、ふたを開けてみればむしろマイルの方が強かった。
抜群のダッシュ力で先手を奪うと、そのままスピードが衰えることなく、後続に影を踏ませない5馬身差の圧勝。2007年にあのウオッカがマークしたレコードタイムを0秒4上回る1分32秒7には、本当にたまげましたよ。
馬場状態などモロモロのレースコンディションが当時とは違っていますから、単純に比較するものではないかもしれませんが、それでも自分でペースを作ってのこの超速タイム。大いに評価していいと思います。
年明け初戦となりますが、この中間はしっかりと乗り込まれており、1週前の坂路追い切りでは4F53秒2、ラスト1F11秒8をマーク。スピードの持続力だけじゃなく、瞬発力の高さもアピールしており、デイリースポーツによれば騎乗した助手が「阪神JF当週と同じくらいの出来にあると思う」とのこと。

これはきっちりと仕上がっていますね。
阪神JFと同じくらい走れば当然、無傷の5連勝の可能性は高いでしょう。
続いて阪神JF2着のマルターズディオサ。
その前走は好位3番手から教科書通りの正攻法で2着を確保。レシステンシアには離されてしまいましたが、末脚自慢の後続を振り切ったあたり、とても内容のある競馬だったと思います。
阪神JFは上手な立ち回りを見せた一方で、未勝利戦、サフラン賞は中団より後ろからの差す競馬。レースの流れに左右されない脚質は、この時期の若駒にとっては大きなアドバンテージとなるでしょう。
特に3歳牝馬は繊細な馬が多いですから、どんな展開、位置取りからでも力を発揮できるというのは、それだけで有利です。
また、2走前のサフラン賞で2着に下した相手は、今年2月のGⅢクイーンカップでも2着に入ったマジックキャッスル。阪神JFがフロックではなく、実力で掴み取った証拠です。ここも堅実に好勝負してくれるのではないでしょうか。
阪神JFで当時、絶大な支持を集めていたのはリアアメリア。しかし、その女王候補に並ぶくらいの素質馬が同じ中内田厩舎にいました。
それがクラヴァシュドール。
実際、レースでもリアアメリアが伸びあぐねる一方、クラヴァシュドールは出走メンバー中2位の上がり脚で3着に強襲。能力の高さを見せました。
もとより、2走前のGⅢサウジアラビアロイヤルカップでは、牡馬のクラシック候補でGⅠ朝日杯FSを快勝したサリオスに1馬身1/4差に迫る2着。牡牝合わせても世代トップクラスの実力馬であることは間違いありません。
父は今年の3歳世代が大豊作と言われているハーツクライ。桜花賞だけにとどまらず、二冠目のオークスも含めて牝馬クラシック主力の1頭になっていい逸材です。
クラヴァシュドールと同じくハーツクライ産駒のウーマンズハートも、秘めたる素質は相当なモノです。
新潟の新馬戦ではマルターズディオサを3馬身半も置き去りにする圧勝。そして、マークした上がり32秒0という数字にはド肝を抜かされました。さらにGⅢ新潟2歳Sも32秒8の切れ味で快勝。末脚の破壊力なら3歳牝馬ナンバーワンと言って過言ではないと思います。
大きな期待を背負っての阪神JFは4着。正直、物足りないと感じましたが、瞬発力を見せつけた過去2戦と違って、積極的に取りに行った前めのポジションが結果的に裏目に出たのかもしれません。
ただ、この敗戦はウーマンズハートにとって大きな財産になったはず。初めての右回り、初めての直線坂を1度経験して迎える同じ舞台。どのような走りを見せるのか、注目ですね。
この阪神JF組の上位4頭が中心となりますが、ここに食い込むとしたら年明けのGⅢフェアリーステークスの勝ち馬・スマイルカナ、同2着のチェーンオブラブ。
特にスマイルカナは連勝で重賞を制しており、その勢いがどこまで通用するかですが、勝ったレースはいずれも逃げてのもの。同じく先行力を武器とするレシステンシアとの兼ね合いがポイントとなりそうです。
あと、3戦2勝のショウリュウハルも血統的に面白い1頭。母は2010年のGⅢチューリップ賞をはじめGⅢ京都牝馬S、GⅢ朝日チャレンジカップを制した重賞3勝のショウリュウムーンで、父はジャスタウェイ。母譲りの息の長い末脚が同じ舞台で炸裂するか、注目です。
現時点での見解
阪神JFの上位4頭がそろい踏みとなる、豪華すぎるトライアルとなりました。例年の前哨戦以上に大きな意味を持つ1戦だと思います。
各馬ともに本番を見据えての仕上げでしょうが、このチューリップ賞でだらしないレースをしているようでは、本番も出番はないでしょう。
その意味でもやはり中心は阪神JFの1着~4着馬。

なかでも女王レシステンシアのスピードは頭1つも2つも抜けています。
加えて自分でペースを作れる馬であり、また、逃げ一辺倒でもありませんから、ライバル勢にとってこれほど手強い相手はいません。
その先行力とスピードの持続力は父ダイワメジャー、叔母ダイワスカーレットを彷彿とさせるものですし、すんなりとしたレースができれば無傷の5連勝は堅いと思います。
しかしながら、今回は逃げてGⅢフェアリーSを勝ったスマイルカナの存在がうるさい。もしこの馬に絡まれてペースが乱れるようなら、他馬にもチャンスが広がります。
人気面で美味しいのは、マルターズディオサでしょうか。
関西3頭が派手で話題になりやすい分、同馬はわりかし地味なタイプだけにあまり人気しなさそう。それでいて実力は確かですから、マルターズディオサ絡みの馬券は思わぬ好配当になるかもしれないですね。
弥生賞、オーシャンSの展望
中山の土曜メインGⅢオーシャンステークス、日曜メインのGⅡ弥生賞ディープインパクト記念の展望記事も合わせて公開しています。タワーオブロンドン、サトノフラッグら有力馬の徹底分析、また現時点での予想見解を掲載しておりますので、よろしければ合わせて参考にしてみてください。

