アーモンドアイ強かったですね。
これで芝GⅠ勝利数はシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラックに並ぶ史上最多タイの7勝目。
アーモンドアイ号、ルメール騎手、国枝調教師はじめ厩舎スタッフ、牧場スタッフ、オーナー関係者の皆さま、本当におめでとうございました!
それでは、僕なんかが言うことなんてもう何もないくらいに強かったわけですが、ヴィクトリアマイルを振り返ってみたいと思います。
目次
第15回GⅠヴィクトリアマイル 回顧・総評
注目の位置取り、さすがはルメール
注目していたのは道中の位置取り。
というのも、今の東京は完全な「内め先行有利」の馬場コンディションとなっており、そのような中で、末脚を生かす競馬で勝ち続けてきたアーモンドアイはどのポジションから進めていくのか?
ルメール騎手が打った“初手”は好位の5番手。

さすがだ……
僕はレースを見ながら思わず、唸りながらそうつぶやいていた。
レース後のインタビューでルメール騎手は「アーモンドアイのレースはいつもスタート次第」と答えていたが、今回のアーモンドアイのスタートは抜群。そこから無理なく5番手を確保していった。
ここでルメール騎手は完全に馬任せにするのではなく、最初の400mを過ぎたあたりからやや促すようにポジションを取りに行っている。これはやはり、今の東京の芝傾向を意識してのものだろう。
思った以上に遅かった前半のペース
そしてもう1つ、見逃せないのが前半のペースだ。
12.0 - 10.9 - 11.3 - 11.4 - 11.1 - 11.2 - 11.1 - 11.6
前半4F45.6
後半4F45.0
上記のラップタイムから見ても分かるように、今年のヴィクトリアマイルは後半4Fの方が0秒6速い後傾ラップだった。
当所は前に行きたい馬が3頭そろってハイペースになると僕は思っていたが、そのうちの1頭セラピアが疾病のため出走取り消し、また、トロワゼトワルの二の脚が速すぎたこともあるのかコントラチェックが競らなかったために、思った以上にすんなりと隊列が決まってしまった。
これにより思ったほどのハイペースにはならず、むしろやや遅いくらいの流れに。
こうした前半のペース、レースの流れも加味してポジションを取りに行ったであろうルメール騎手は、やっぱりさすがである。
また、アーモンドアイにとって、その1つ前のポジションを進んでいたサウンドキアラがちょうどいい目標になっていた。
松山弘平騎手は大外から完璧な競馬を展開したと思うのだけど、一番強い馬に目標にされては手も足も出ない。
ただ、松山騎手の騎乗は“勝ちに行く”競馬だったと思うし、これは仕方ないところ。むしろ、この騎乗じゃなければ2着もなかったと思うので、松山騎手&サウンドキアラにとってはもうこれは相手が悪かったとしか言いようがないと思います。
さすがにもう驚くことはないと思っていたが……
話をアーモンドアイに戻しましょう。
好位5番手から、道中で他馬にもまれることもなく、何の不利もなく徐々にエンジンをかけていった3~4コーナー。
この時点でもう「勝負アリ」だ。
あとはどれだけ伸びるか、という感じでしたが、ここから度胆を抜かされるとは思わなかったですよ。
これまでアーモンドアイは6度もGⅠを勝っており、そのたびに僕は彼女の物凄いパフォーマンスに驚いてきた。
でも、人間は贅沢なもので、「飽きる」生き物なのである。だから、さすがに今回は相手が相手だし、

ちょっとやそっとのパフォーマンスでは驚かないですよ
と、タカをくくっていたわけだ。(どうせだったら、僕のノームコア1着流し3連単馬券のために負けてくれてもいいんだよ?くらいに思っていた)
ところが、だ。
7度目のGⅠ勝利も心底ビックリしてしまった。直線の脚はもう本当に『別次元』ですね。
こうなると一緒に走っていた牝馬たちがかわいそうと思えてくる。
まさに“速さの暴力”。
追うところなく1分30秒6だから、全力で走らせていたら悠々と日本レコードを更新したかもしれないですね。
なんだか、ウサイン・ボルトみたいだ。
新型コロナ禍の影響、今後の出走プランどうなる?
「もう負けないです」
ルメール騎手がそう宣言してしまうのも分かります。ちゃんと適性の合うレースに、普通の体調で臨むことができて、普通にレースをすれば、負けることはないでしょう。
では『次』はどこになるのか?
非常に気になるところで、安田記念か、宝塚記念か、秋までお休みか――?
1戦ごとの消耗が大きい馬なので、今日のような暑い日の競馬の後は体調が心配にもなりますが、今回はかなり余裕残しのレース。
国枝調教師も「レース後は今までより全然楽で、上がってきて尻っぱねをするぐらい元気だった」とコメントしており、もしかしたら今年前半のうちにもう1戦走れるかもしれない。
そうなったら、安田記念でも宝塚記念でも楽しみしかないですね。
ただ1つ残念なのは、世界的な新型コロナウイルスの拡大のために、今年は(もしかしたら数年先まで)海外遠征が簡単にはできないかもしれない、ということだ。
やっぱり、アーモンドアイの強さは国内にとどめておいてはいけないし、これほどの馬なのに海外の国際レースが1戦のみというのは本当にもったいない。
国内専念なら、一人でも多くの人に伝説の名馬を見てほしい
でも、その分、もし国内専念ということになれば、日本競馬史に残る伝説的な馬のレースを日本のファンは目の前で見られるチャンスが増えるというわけで、その点ではいいことなのかな?
海外遠征が現実的に厳しい以上は、一人でも多くの日本人・日本在住の方に、もちろん競馬ファンではなくても、ぜひアーモンドアイをその目で見てほしい。
その速さ、強さはもちろんだけど、個人的な「ココ見てポイント」はそのお顔だ。

名前通り、本当に目がクリっとして可愛いのだ。
そのためにも一日でも早く、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、これまで通り競馬場に足を運べる世の中に戻ってほしいですね。
アーモンドアイの走りを見ながら、改めてそう強く思ったわけです。
今週のひとり大反省会
1着○アーモンドアイ
2着▲サウンドキアラ
3着◎ノームコア
4着 トロワゼトワル
5着 ダノンファンタジー

1着▲ダノンスマッシュ
2着 ステルヴィオ
3着◎グルーヴィット
4着穴ラヴィングアンサー
5着 セイウンコウセイ

ノームコアはスタート不発からよく盛り返した
◎ノームコアはあそこからよく頑張って3着にまで来てくれたなぁという印象。
ただ、横山典騎手もレース後にコメントしているように、スタートがもったいなかったですね。出遅れたのを見たときは、

あ、終わった……
と思いましたもん。
そこから積極的にポジションを上げて行って、道中はアーモンドアイの後ろを確保。今の東京芝の傾向を考えれば、あそこが勝負できるギリギリの位置だったと思います。
事実、ノームコアより後ろになった馬は軒並み全滅ですもんね。
スタートひと息ながらも、あの位置までリカバーし、かつ3着まで持ってきた横山典騎手もまた、さすがでした。
結局のところ、ヴィクトリアマイルは1~3着馬は強かったけど、ジョッキーも上手かった。
となると、次週のオークスも桜花賞馬デアリングタクトと乗れてる松山弘平コンビには期待大。
二冠達成なるか、それとも桜花賞で敗れた馬たちの巻き返しか、はたまた別路線から新星登場か――
来週初めには展望と見解、その時点での予想などをまとめたものを公開しますので、またお時間ありましたら、ぜひ当ブログに遊びにきてください。
よろしくお願いします!